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まもなくわたしはまた死ぬだろう。
そしてまた、おそらくは、
あのときあの夜、あの時間まで――
あの大雨の六月の夜にまで――
時の何かの気まぐれで、
否応なしに、嫌でも、わたしはふたたび、引き戻されていく――
そしてまた、何もかもは、始めからだ。
おまえはそこでは、わたしのことを――
おまえはわたしを、知らないだろう。
わたしたちは、また、一から、最初に出会うところから、
ゼロからはじめないといけない。
それを思うとつらい。
なんど戻っても、やはりこれだけは、つらくて涙がこぼれそうになる。
けれどわたしは――
わたしはまた、それでも懲りずに――
たぶん今度も、笑っておまえの前に現れる。
また会ったな、橡原。元気してたか? と。
普通に笑って、けろりとお前の前に、たぶん、現れるだろう。
迷惑だろう、とは思う。
またしても大迷惑だ。
だけどどうか、許し欲しい。
わたしがまた、違った時間のお前に会いに行くことを――
おまえのことを、再びそこで親友と呼ぶことを――
どうか許してほしい。
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