如月かれんは二百二十二回死ぬ。

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 でも。  街に夕方が来たとき、さすがにわたしはくたびれて――  光風台駅前のベンチに、どさりと座って――  なんだかもう、ほんとに、体の中の全部から、力がすべて、抜けてしまったみたいで――   もうすっかり日が落ちて、街の明かりがともり始めました。街の明かりが――  そのとき急に、ひらめきました。    もしかしたら!  わたしは駆け登りました。  スポーツ公園の裏から続く、その暗い木立の中の上り坂を。  途中で転んで、あちこち泥だらけになったけど――  それでもとにかく、走って走って、登って登って――  
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