如月かれんは二百二十二回死ぬ。

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2 「ねえ、な、なんで、ついてくるかな?」 「なんで? 決まっているだろう。」 「決まってるって何――」 「親友だからだ。」  かれんは、あっさりそう言いました。  親友――  そんな言葉を、わたしは誰かにかけられたのはまったくの初めてで――  正直、戸惑いました。  なんだか恥ずかしくて、体がちょっと、ほてる感じがしました。  学校からの帰り道。学校の最寄りの川野瀬口(かわのせぐち)駅まで、一緒についてきたまでは良いのですが(わたしを含めた大半の生徒がこの駅を利用しているので。)、  そのあとわたしが光風台(こうふうだい)駅で降りるときにも―― その子は一緒に降りてきて、東口の改札を出たあとも、住宅街の路地の上り坂を、ぴったりついてきて―― というか、当然のごとくわたしの横にぴたりと並んで、何のこだわりもなく、しれっとついてくるのです。  しかもなれなれしく、「最近は調子はどうだ?」「中間テストはもう済んだのか?」「どうだ、少しは数学の成績は上がったか?」などと、まるで前々からの友達みたいに、当たり前のように訊いてくる――    最初のうちは、「うん、まあ」とか、「ま、そこそこかな~。普通。」とか、無難にわたしも相づちを打っていたのですが。  でもさすがに、わたしの家の近くまで来たとき、とうとうがまんできなくてわたしは言ってしまいました。ぴたりと足を止めて、まっすぐその少女に向き直って。 「ねえ、な、なんで、ついてくるかな?」 「なんで? 決まっているだろう。」 「決まってるって、何――」 「親友だからだ。」   「親――友?」
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