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「ねえ、な、なんで、ついてくるかな?」
「なんで? 決まっているだろう。」
「決まってるって何――」
「親友だからだ。」
かれんは、あっさりそう言いました。
親友――
そんな言葉を、わたしは誰かにかけられたのはまったくの初めてで――
正直、戸惑いました。
なんだか恥ずかしくて、体がちょっと、ほてる感じがしました。
学校からの帰り道。学校の最寄りの川野瀬口(かわのせぐち)駅まで、一緒についてきたまでは良いのですが(わたしを含めた大半の生徒がこの駅を利用しているので。)、
そのあとわたしが光風台(こうふうだい)駅で降りるときにも―― その子は一緒に降りてきて、東口の改札を出たあとも、住宅街の路地の上り坂を、ぴったりついてきて―― というか、当然のごとくわたしの横にぴたりと並んで、何のこだわりもなく、しれっとついてくるのです。
しかもなれなれしく、「最近は調子はどうだ?」「中間テストはもう済んだのか?」「どうだ、少しは数学の成績は上がったか?」などと、まるで前々からの友達みたいに、当たり前のように訊いてくる――
最初のうちは、「うん、まあ」とか、「ま、そこそこかな~。普通。」とか、無難にわたしも相づちを打っていたのですが。
でもさすがに、わたしの家の近くまで来たとき、とうとうがまんできなくてわたしは言ってしまいました。ぴたりと足を止めて、まっすぐその少女に向き直って。
「ねえ、な、なんで、ついてくるかな?」
「なんで? 決まっているだろう。」
「決まってるって、何――」
「親友だからだ。」
「親――友?」
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