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 ところが子供を産んで職場に復帰した私は冷遇された。周囲の女性社員たちは表面上、私の復帰を喜んでくれた。だが、どうやら陰では「長い間、産休をとったくせに毎日定時で帰っていく。気楽でいいよね」と揶揄されていたようだ。  もちろん、私はそんなやっかみを気にするほど弱くはなかった。私には私の人生があり、使命がある。私は会社に求められる人材だし、私の文句ばかり云っている、あなたたちよりはよっぽど仕事ができると自負していた。だから私は7.5時間、しっかりと働き、胸を張って毎日定時に退社した。  ある日の夕方、いつも通り定時で退社し、息子を迎えに行ったときのことだ。同じく子供を迎えにきていたほかのママから森屋さんに関する噂を聞いた。なんでも森屋さんの奥さんは昨年、癌でお亡くなりになったらしい。  森屋さんは、たいてい私よりも遅い時間に娘を迎えに行っていたようだから、保育園で会うことは滅多になかった。だけど朝は保育園の前でしょっちゅう彼を見かけた。
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