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scene:02《象牙色の眩暈》
「わかってるなら、何でこんなこと…っ!」
苛立ちながらも冷静さを保ち続けていた颯希の表情が、その瞬間、ハッキリと怒りに歪む。
「──颯希の言い方だと、オレが100%悪いみたいだよね」
颯希の表情が怒りに歪んだことに、口に含んだペットボトルの水の冷たさも感じないほど、暗い歓びが沸き上がり、オレは颯希の方を見て、クスリと笑った。
──“冷静沈着・品行方正な優等生”というイメージを、そのまま人間にしたかのような、颯希の姿。
双子なのに、オレとはまるで違う、その存在。
基本インドア派で、食事にも無関心な颯希は、同世代の男と比較しても、かなりのやせ形で、日に焼けたことがない肌は、なめらかな象牙色をしている。
特に、耳から首筋にかけてのラインは、今日ヤった新川とは比べ物にならないほど、繊細で、眩暈がするような色気があって、視線が釘付けになってしまう。
──そこに舌を這わせたら、颯希は、どんな風に啼くんだろう…。
「…自分は悪くないって言うつもりか?」
颯希はそう言いながら、まるでオレの視線を拭いとるかのように、首筋を擦った。
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