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scene:04《鶴の一声と冷たい空気》
──すげぇオッサン発言だ。…ていうか。
「…現役男子高校生なら、オレじゃなくても、自宅にいるじゃないですか」
何でわざわざ、店に来るんだ…と思いながら返せば、祐さんが憮然とした様子で黙りこむ。
代わりに、オレの言葉に答えたのは、匠さんだ。
「最近、密の反抗期っぷりが、ひどくてな。祐が何か話しかけようとすれば、すぐに塩を撒こうとするんだよ。それに、兄貴がついにキレて、“塩がもったいないから、密に近づくな”って、祐に禁止令を出したんだよ」
「禁止令って…」
まさに、鶴の一声。さすが誉さんだな──ていうか。
「…塩?」
思わず訊き返せば、匠さんが外国人みたいな仕種で、肩を竦める。
「そう。密の奴、最近、お祓いもどきにハマってるみたいで」
「………」
ハマってるも何も──それを密にアドバイスしたのは、オレだ。
あれは、年末のある日のこと。いきなり“お祓いには何が効く?”という、面倒くさいLINKを寄越した密に、オレは考えるのも面倒で、つい、適当に答えたのだ。──“塩でも撒いとけ”と。
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