scene:extra《手の爪痕と不機嫌な視線》

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scene:extra《手の爪痕と不機嫌な視線》

             † † †    一刻も早く押し倒し、存分に思い知らせてやりたかったのに、玄関は嫌だ、リビングも嫌だ、と颯希はわがままを言い、あげくの果てにはシャワーくらい浴びたいなどと、往生際の悪いことを言うので、オレはお預けされた気分にやきもきしながら、颯希を連れて部屋に向かう。  久しぶりの自分の部屋。出発前夜と同じように、見慣れたベッドに颯希の体を強引に押し倒すと、これ以上、往生際の悪いことを言い出されないよう、深いキスをした。  おののくように逃げ惑う舌を捕え、その体に触れながら、少しずつ自由を奪っていく。…颯希がただ快感に溺れ、従順になるやり方なら、もう知り尽くしている。    「…っふ、やっ…ん、あぁ…っ!」  衣服を取り払い、その胸の淡い色みを、赤く凝るまでいたぶる。…いつの頃からか、胸だけでもイケるようになった颯希には、これくらいの接触でも堪らないものがあるらしく、腰をもぞもぞ揺らす。  「んっ、ふ…、あ、もうっ…そこ…やだ…!」  颯希の体はあっけないくらい簡単に体温が上がり、高ぶってきた。まだろくに触れてもいないのに、屹立は先端に露を浮かべ、けなげに震えている。  「何が嫌なんだよ。…ここ、好きだろ?」  その胸に唇を当てたまま囁き、もう片方の凝りをわざと強めに摘まんで弾いてやれば、颯希の背中が鞭のようにしなった。
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