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scene:extra《手の爪痕と不機嫌な視線》
「や、んっ…真紘…っ、お願い、はな、指…離して…!」
「ダメ。オレがイクまで我慢して。…できるだろ?」
「やだ、できない。出したい、も、もういきたい…っ。それ、イヤだ、いかせて…っ!」
過ぎる快感と、それを吐き出せない苦痛に苛まれ、意識が飛びかけているような颯希の表情。…オレに、こんなことまで許してくれる颯希に、心も体も満たされていくのを感じた。
「──愛してるよ、颯希」
半ば意識を飛ばしているだろうと思ったのに、颯希はオレの言葉に反応したのか、ふっと瞼を開けた。
「………」
快感にとろりと潤んだ瞳が、オレを見上げ──颯希は、フワリと微笑む。
やわらかな微笑みに吸い寄せられるように唇を重ねると、オレはそっと戒めをほどき、一緒に絶頂へ駆け上がった。
颯希の中へ、想いのすべてを解き放つ。オレの手の中に吐き出しながら、颯希はすべてを最奥に受け止める。
──ああ、ひとつになっている。
また、この形に戻れた…と、思った。
同性で、兄弟で、双子で。幾重にも禁じられた関係がもたらす絶頂は、いっそ神聖な交歓だ。…颯希も、そう感じてくれたらいい。
それから夜更けまで体位を変えて何度も交わり、2人で縺れるように抱き合ったまま、ベッドへ沈む。…汗と体液にまみれた颯希の匂いを吸い込みながら、眠りへ落ちる寸前、
「──…僕もだよ」
囁くような颯希の告白が、確かに聞こえた。
【scene:extra End】
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