アランの決意

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アランの決意

「誰だお前は?王族か」 「はい、サタン様。私は第2王子の アランと申します。ここへ 召喚できる方に依頼し 送り届けてもらったのです」 アランは第1王子だったが、目が見えない為 第2王子となった。普段は家族が 住んでいる屋敷から遠く離れた場所で 使用人のビルと質素な暮らしをしていた。 「私は目が見えない為、ここまで 来るのに時間がかかってしまいました。 申し訳ありません」 「・・そうか。まぁいい、それで そなたはここへ何をしに来た? ただ、殺される為に来たの ではあるまい」 アランがここへ来た理由を知って いるような口調だった。 胸の高鳴りを抑えるように一度深呼吸をし 目の前にいる王にこう告げた。 「私達は大罪を犯してしまいました。 人間が魔界の者を殺めることは 同盟でも禁止されております。 我々王族は、病は悪魔のせいに することで責任から逃れようとしました。 しかし、どうかここにいる召喚者や 国民の命は お助け下さい。 お願いします」 両膝を曲げ手をつき深々と頭を下げる。 その様子を見たサタンはアランの 目の前へ来て、上体を起こした。 「非を認めることは良いことだ。 しかし、そなたの父がしたことは 到底許すことは出来ない。 本来ならここにいる人間を殺し そなたの国の民を奴隷する権利がある。 取引を持ちかけるなら、私に 何を差し出す?」 「・・私の命をあなた様に捧げます。 裏切らないと誓います」 悪魔に命を捧げるということは 身も心も悪魔に支配されるということだ。 一度支配されれば下界に戻ることは 出来ない。一生を魔界で過ごす ことになる。それでもアランは 国民を守る為に、自分の身を差し出す 決意をした。 「そなたの決意を受け入れよう。 ベルゼブブ、この者達を下界へ 帰せ。王には監視をつけろ。 妙な動きがあれば報告してくれ」 「はい、サタン様」 アランは安堵した。父や兄の命も 助かったのだ。 しかし、これから始まる恐怖が じわりじわりと心を支配していく。
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