離さない

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離さない

「ん、ここ・・は。・・そうか私は あの方の・・」 昨晩の出来事が徐々に頭の中を支配する。 サタンの血を飲んだ後、何度も体を繋がれ 気を失っていた時も容赦なく続けられた。 そのせいで、アランの声はかすれ自力で 立つことも困難な状況だった。 「おはようございます、アラン様」 「えっ」 聴いたことがない声に驚きシーツを 強く握りしめた。 「申し訳ございません。サーシャと いいます。アラン様の身の回りのお世話を 担当することになりました」 「え、でも僕は奴隷で・・」 「何をおっしゃいます!あなた様は 魔王様の・・」 「サーシャ、その件は私が話す」 「魔王様、承知しました」 サーシャは挨拶をした後、部屋を後にした。 サタンはベッドに座るとアランの腕を掴み 引き寄せた。 「微弱ではあるが、お前とは違う脈の 音がする。後1ヶ月もすれば確実に 孕むだろう」 「え、し、しかし僕は男で・・」 「私の血を飲んだ者は妻となり永遠の 命を手にする。お前はもう人間ではない。 この世界と私に一生尽くす。 それがお前のやるべきことだ。 私に何をされようと拒否権はない。 いいな」 「・・は、い」 サタンは顎を掴み口づけをする。アランの 頬から一筋の涙が流れていく。 「絶対に逃がしはしない」 耳元で囁いた後、離れようとしたアランを 強く抱き締めた。
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