壱ノ不思議 廊下の怪

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壱ノ不思議 廊下の怪

 キィィィィィィィーッ  キィィィィィィィーッ  キィィィィィィィーッ  音がする。  キィィィィィィィーッ  廊下を踏む音がする。  ああっ、嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!  アイツはああやってずっと廊下を歩いている。  行ったり来たりを繰り返し、夜通し廊下を歩いている。  嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!  煩い! 煩い!  静かにしろ!  静かにしろ!  キィィィィィィィーッ  キィィィィィィィーッ いくら念じても、いくら祈っても、廊下を踏む音は消えない。 いつからこうなったのかは分からない。  しかし、恐らく、私が生まれる前から、アレはああやってずっと廊下を踏んでいたのだろう。 キィィィィィィィーッ キィィィィィーッ 我慢するしかない。 もし、私が生まれる前からアレがいたなら、アレの方が先客と言うヤツだ。 私はこの家に生まれた事を今夜も呪い、浅い眠りに付いた。
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