壱ノ不思議 廊下の怪

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 夏休み。  私は田舎のおばあちゃんの家に来ていた。  今日からしばらく一人でおばあちゃんの家に泊まるのだ。  おばあちゃん家は古い日本家屋だった。  昔々に建てられた家だそうだ。  玄関を開けて元気に挨拶すると、雪絵お姉さんが私を迎えてくれた。  雪絵お姉さんは、私のママの妹で、つまり、私のおばさんである訳だ。  とても綺麗な人で、私は雪絵お姉さん以上に綺麗な人を見た事が無い。 「早紀ちゃん、良く来たわね。どうぞ上がって」  雪絵お姉さんはそう言って、スリッパを私の前に揃えて置いた。 「ありがとう。これ、ママから。私の事、お願いしますって」  私は靴を脱ぎ、スリッパを履きながらお土産を渡す。 「あら、このお菓子、私、好きなのよね。ありがとう。ママは? 一緒に来なかったの?」 「雪絵お姉さん、私、もう中学生よ! 一人で来たのよ」  私は自慢気にそう言った。  私も今年で中学一年生。  ママに頼らなくても一人でおばあちゃんの家へ行くぐらいの事は出来るのだ。 「え、一人でここまで? あら、そうだったの? それなら連絡してくれたら駅まで車で迎えに行ったのに。ここまで随分歩いたでしょ?」 「うん、歩いた。でも大丈夫、若いから疲れなかったわよ」  私がニヤリと笑いながら言うと、雪絵お姉さんもニヤリとして、「それは良かったわね」と言った。 「早紀ちゃん、それにしても随分と髪の毛を短くしたのね。おかっぱ頭、似合ってるわよ」と雪絵お姉さん。
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