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「まぁ、なんだってこんな遅い時間に来たんだい。お母さんは? 居間にいるのかい?」
「遅い時間かなぁ、まだ午後の四時になったばかりだよ。ママ……お母さんはいません。一人で来ました。今日からしばらくここに泊まるんです」
私がそう言うと、おばあちゃんは目を丸くした。
「なんですって? まぁ、こんな小さな子供を一人で来させる何て! お母さんは一体何を考えているのかしらねぇ!」
呆れ顔のおばあちゃんに私は反論した。
「私、中学生よ、小さな子供じゃない! おばあちゃんの家くらい一人で来れるわよ! おばあちゃんは私が来て嬉しく無いんですかっ!」
おばあちゃんから見たら、私なんて小さな子供以外の何者でも無いのだろうが、私は家では家族から、うんざりするほど子供だ! 子供だ! と馬鹿にされているのだ。おばあちゃんにまで子供扱いされたくなくて少し声を荒げて言った私に、おばあちゃんはクスクス笑って、「ごめんよ」と謝った。
しかし、私の顔は膨れっ面のままだ。
「ごめん、ごめんよ。フフフッ。早紀ちゃんも、もう中学生じゃあ、立派な大人よね! まぁ、こんな田舎だけど、せっかく来たんだ。ゆっくりして行きなさいな」
おばあちゃんは、笑いを堪えながら私にそう言った。
おばあちゃんがあんまりおかしそうだから私も何だか笑ってしまって、子供扱いされた事なんてどうでも良くなった。
「そうだ、お土産にお菓子持って来たんだ、後で一緒に食べようよ!」
私がそう言ったタイミングで雪絵お姉さんが私を呼ぶ声がした。
「早紀ちゃん! いらっしゃい! お茶入れたからぁ」
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