壱ノ不思議 廊下の怪

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「それにしても、急に泊まりに来るとか言って来て、びっくりしたわ。早紀ちゃんに会うのは二年振りだったかしら。もう、中学生とはね。何年生なの?」 「一年生よ。ピカピカのねぇ」  私が気怠げにそう言ったので、雪絵お姉さんはフフフッと笑った。 「学校はどうなのよ? 楽しくやっているの?」 「学校は……普通よ。でもそれ! それなのよ! 何だか普通でいる事に疲れたのよね。普通の繰り返しに疲れたの」 「どう言う事?」 「何ていうか、上手く言えないけど……夏休みにね、中学で出来た友達に遊びに誘われたの。この日に皆んなでプールに行こう、あの日にはお祭へ、次はここへ。この日は集まって宿題を一緒にやりましょうよって……」  私はテーブルに顔を伏せた。  そして、溜め息を漏らす。 「友達に誘われるなんて良いじゃない。友達と遊んで楽しく過ごせば良いんじゃない?」  雪絵お姉さんの一言に、私はわざとらしくはぁーっと溜め息の声を上げた。 「そうなんだけど、私、プールになんて行きたく無かったし、お祭は毎年一緒に行く別の友達がいたし、何より、夏休みは一人でゆっくり過ごしたかったのよ。中学に入ってから、今の友達と毎日の様に一緒にいて、遊んで、勿論それも楽しいんだけど、疲れちゃったのよ。一人でゆっくりして、自分のやりたい事やって、充電したかったの。そうでないと、新学期からまた頑張れそうに無いなって思って……」 「ははぁーん、そう言う事」  雪絵お姉さんはニヤリと笑う。 「早紀ちゃん、あなた、ここに逃げて来た訳ね? 友達から、フツウでいる事から?」
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