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「わかったよ、行くよ」
「よかった。純ちゃんなら行ってくれると思ったのよ」
玲ちゃんは顔の前で手を合わせて、首をちょっと傾ける。これがかわいいってわかってやってるんだろうな。かわいいよ。
でも、男に媚びるため、とかじゃないんだよな。最初はそうだったかもしれないけど、玲ちゃんのそれはもう染み付いてるんだ。恐ろしい子だよ、本当に。もっと恐ろしいのは、俺のことを『純ちゃん』呼ばわりして、女友達と同じように扱うところだ。もう少し意識してくれてもいいと思うんだけど。
玲ちゃんはしれっと俺の傘に入ってくる。俺たち、付き合ってるみたいだろ? でも、違うんだ。これはもう、本当に女子同士の距離感ってやつなんだろうな。それならいっそ、そういう感じに振り切ってみたらどうだろう。
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