雨の日の記憶

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 私は、昔から雨の日が嫌いだった。  雨は嫌な記憶を呼び起こす。  もう十年以上経っているのに、あの日の出来事は鮮明に覚えていた。  今朝も、その事で姉と口論になったぐらいだ。 「いい加減、シャキッとしなさいよ。梅雨が始まる度にどんよりムード出されちゃ、こっちが滅入るわよ」 「お姉ちゃんは、その場に居なかったから分からないんだよ」 「分かるわよ。私だって──」 「分からないよ! 私の気持ちなんて!」 「分かるってば!」 「やめなさい、二人とも! 母さんが見たら、悲しむぞ」 「……」  あの時、父親が止めなかったら、取っ組み合いのケンカになっていたかもしれない。
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