雨の日の記憶

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「おかあさん、おそいなあ~」  保育園の玄関で、体育座りしながら待っていた。  その日は雨が降っていて、友達の親たちはみな傘を片手に迎えに来ていた。 「みっちゃん、バイバイ!」 「うん、バイバイ」 「みっちゃん、またあした」 「うん、またね」  次々に帰っていく友人たちを見送り、私一人が残されていく。 「今日は雨が降ってるから、道が混んでるのかもしれないわね」  園長先生がやってきて、私を元気付けるように言った。 「大丈夫よ。あんまり遅くなるようだったら、先生がお家に電話してみるから」 「うん」 「じゃあ、お母さんが来るまで、先生とお歌を歌いましょうか?」 あめあめ ふれふれ かあさんが じゃのめで おむかい うれしいな ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン♪
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