一緒に…なんて

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一緒に…なんて

内海の海を見に行った。 見に行った。と言うと語弊があるね。 死にに行った。 死ねなかった。死ななかった。 死ぬ勇気もない人間だった。 海は綺麗だった。人も多かった。 一緒に来ていれば楽しかったかなって想像した。 帰り道、和菓子屋でなぎさ氷を食べた。 抹茶味で、僕の苦手なあんこが入っていた。 思いの外食べれた。…量多かったけど。 2人で一つだったんだろうなって思った。 美味しいなーって言い合ってたんだろう。 僕はあんこが苦手だから君に食べてもらって、 「なんであんこ食べれないのに注文したの?」 って君は笑いながら言うんだろう。 そして2人でお腹いっぱいだねって笑う。 そんな気がした。 現実は僕1人で食べて、 「お腹いっぱいだな」 って呟いただけだった。 全てに取り残されている気がした。 君がいたら…君といたら… 全て考えてしまう。 君といたら楽しかったんだろう。 君と食べたなぎさ氷はもっと美味しかったんだろう なにをするにも、君がいると更に楽しくなる。 美味しくなる。特別になる。 未練たらたらなんだろう。 今日くらいはそう思っていよう。 一緒に行きたかった。 海行きたいって言っておけばよかったなぁ… そしたら君と来れたのに。 「独り」より「ふたり」の方が良いに決まってる。 もっと一緒に居たかった。
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