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あるいなか町に蛍川温泉というのがある。
そのいなか町には川が流れていて、そこの近くにおっさんが旅館を始めた。
蛍川温泉。 その名前にした。
おっさんは蛍が好きだった。
しかしそこの町には蛍はいない。
それでも、おっさんは蛍川温泉にした。
勝算があった。
何故なら、人は蛍が幻想的なものだというのが一般的になっているから。
その目算通り、オープンした月、人は集まった。
しかし、次の月、客は減った。
おっさんは、慌てて、蛍を買った。
10匹買った。
こいつらが交尾してくれれば、蛍がいっぱい増えて、名前通りの旅館になるだろうと思った。
蛍は増えた。
しかし、大した増えないので、幻想的なものにはならなかった。
客は来なくなった。
おっさんは借金が増えるのもよくないと思った。
旅館を畳んだ。
数年後、そのいなか町には蛍が増えた。
観光客が増えた。
旅館ができた。
名前は蛍の町。
おっさんは、観光客としてこの町にきた。
完
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