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「ねぇ、聞いた!?昨日、和田君を引き摺って帰った子行方不明だって。」
「和田君、警察に事情聴取されたって。可哀想……和田君が優しいから送っていかされただけなのにね。」
「でも和田君、公園は彼女の家から数十メートルだから、隙を見てこっそり帰ったんでしょ。人気の無い所だし、このままじゃ変な噂たてられそうだったって聞いたよ?」
「えー、じゃあ。振られたから腹いせに家出ってこと!?最悪じゃん。」
朝からヒソヒソと噂話に興じる女子達、その噂話を聞いて女って怖えぇとこちらもヒソヒソと話し合っている男子達。
捜査中の事件でもあるし、未成年に詳しく話すには刺激が強く、当の本人の姿形もないので失踪か殺人かが判断できないのだ。
「隣のクラスのあの子だよね?行方不明だなんて、怖いね。もしかしたら、私達が事件に巻き込まれたかも知れないもの。」
「相変わらずお人好しねぇ。後藤さん、和田君を横からかっさらわれた挙げ句に十分巻き込まれたのよ、私達。」
「そうね。たまたま私達は複数で各々帰ったけど、夜の人気の無い場所に入っていった彼女も無用心だわ。ましてや、もう少しで家だからと止める和田君を無視して、でしょう?」
呆れたように両方向から空かさず突っ込まれた私は、誤魔化すようにイチゴジュースをチューッと飲んで上目遣いに両隣を固める美少女を窺った。
昨日、一緒にコーヒーショップで盛り上がった子が行方不明で最後まで居たのが和田君で……怖いよ。
っていうか、何でこの二人は一番に私に駆け寄ってガードしてるのかな?
「半田さん、春日井さん、ゴトーちゃん、聞いたか!?ごめんな、昨日俺が二人とも家まで送れば良かったよな!?途中で普通にバイバイした俺のバカ!!」バタバタバタ……
岸元君、小森君、尾藤君が雪崩れ込むように私達の前に駆け寄ってきた。
「俺なんか、昨夜玲一郎羨ましいとか冷やかしちまったよ!!LINEで愚痴られて、初めてヤバくねって蒼くなってたらこれだろ!?」
「俺なんかさっさと帰って、中学の時のダチと普通にあの後対戦ゲームしてた!!本当にごめん!!」
土下座せんばかりの勢いに、私達もポカンとしてしまった。
顔見た途端に文句を言おうと口を開き掛けていたらしい半田さんも、途中で止まって目を白黒している。
「や、やだ。止めなさいよ、あんなこと誰も判んなかったし、ここで責めたら、私はどうなんだって話でしょ。」
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