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男子三人の平謝りを受けて、流石に動揺した半田さんは、助けを求めるようにこちらを見てきた。
はっ、ここは私が何とかしなきゃ!!
春日井さんは半田さんの親友だから絶対フォローするだろうし、私のもう一押しで決定打を!!
「大丈夫だったから!!私なんか襲うよりも、犯人に気付かれてさえ居ないと思うよ!!朝もちゃんと一人で登校できたし、犯人じゃないんだから昨日の時点で予測なんて出来ないって思うの!!」
思いきって、ハッキリと、危険性が無いことを簡潔にまとめて主張した。
大丈夫、昨日の子も半田さん達もモテモテだから心配だけど、私のような普通の地味子はきっと最後の方になると思うんだ。
「よし、今日は後藤さんはしっかりガードしてもらってお家まで送ってもらいなさい。良いわね!?」
うぇ!?何で何で!?どうせ襲うなら可愛い子とかが狙われるんだよ?
半田さんにこそ、ガード付けないと危ないよね?
「そうね……むしろ、今日は寄り道も居残りも禁止で一斉に下校だろうから、全員でガードね。」
あ、あれ!?人数増えたよ!?
全員は大袈裟じゃ………?
「そだな、ゴトーちゃんは確りガードしておかないと、他の事件に巻き込まれたらいけないぜ。」
岸元君がいつものチャラ男っぽい笑顔を消して、真剣な声音で春日井さんの後押しして来た。
「いいか!?後藤さん。犯人のターゲットが誰かは判らないんだから、誰かと帰ってくれ、な?」
「警察に玲一郎が変にマークされて動きにくい分、自由に動ける俺達が後藤さんに気を付けないとな!!任せろ!!な!?」
小森君と尾藤君は懇願するように一歩私の方に身を乗り出して、強い口調で念押しした。
あれれ?クラスの美少女を守らずに、その美少女が私をガードする側に入ってるよ!?
「ま、待って!?半田さん達の方が目立つ美人だもの、私よりきっと可能性高いと思うの!!」
すると、半田さんはフゥと溜め息を一つ吐いて私の鼻先に指を突きつけた。
「美人だからどうじゃないの。ぶっちゃけ私が犯人なら、ぽやぽやとしたお人好しなあなたの方が狙いやすいわ。後藤さん、道で迷ってる人が居たらどうする?」
「うん?それは普通に道を教えてあげるよ?」
地図くらいは描いてあげるし、交番の位置も案内するけども……。
「よく判らないから案内してといわれたら、付いていってあげるのよね?」
それは……まあ、私の口下手な説明じゃ不足なのかも知れないし、正直に言うと私も初めての土地では迷うタイプだし。
「判らない振りで近付いて、警察の位置もあなたの人となりも知られて……わざとあちこち連れていかれたら犯人の思うツボよ?」
今は行方不明事件で騒がしいからって、こんな時にそんなのする人居るの!?
警察の人がいつもよりピリピリしてるのに!?
「そうだぜ、ゴトーちゃん。質悪いナンパなんてまさにそういう手口だぜ?今は同学年の女子が行方不明なんだから、たとえ不親切って心苦しくても、その可能性は考えて自己防衛しないとな?」
岸元君がいつもよりも真面目な調子で私に目を向けてくる。
そう……なのかな?
一番、危なっかしいのは私みたいなボーッとした子なのかな?
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