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「あの、私達は一昨日と同じように日も暮れたし、キリも良かったから数人ずつで帰ることにしたんです。和田君と彼女は先にお店を出て……その、彼女は和田君を好きだったから、アタックしようと思ったみたいで、グイグイ引き摺って帰っちゃって。でも、数分違いくらいでしかないですよ?」
「ふむふむ、最後まで居たという彼に聞いたが……(家まで後数十メートル、角を曲がったら直ぐだったので、このまま送ろうと提案したが、もう少し話したがった彼女に押し負けてジュースだけは奢る事になった。でも、どんどん人気の無い方に行こうとするので、嫌な予感がしてコッソリ逃げた。)大体状況的には齟齬は無いようだね。」
警察の人は、厳つい顔に皺を寄せて調書と睨めっこしている。
何書いて有るんだろう?和田君に不利なことじゃなきゃ良いけど。
「………それで、君は少し遅れて店を友人と後にして、真っ直ぐ帰宅したと。」
「はい……あの。お店を出た時、私…」
「後藤さん、ありがとう。教室に戻って下校なさい。今日も真っ直ぐ帰りなさいね?」
あの不気味な囁き声について警察の人に言おうと口を開いたけれど、さっさと済ませたい先生の声に被せられて、そのまま部屋から出されてしまった。
「あの先生、私、あの時に変な声が聞こえてきて……」
「後藤さん、聞かれたことにだけ答えなさい。協力したいと言う気持ちは判りますが、ただの気のせいで捜査を混乱させないように!!」
バタンッ!!
あの時に囁き声に気付いたのは、私だけだったみたいで、他の人は誰かとお喋りしていた。
私は、まだその辺に和田君達が居るかもってちょうど耳を澄ませて周りを見回し始めた時だったから。
「警察の人に言わなくちゃ。」
でも、警察の人は他の生徒にも話を聞いていて直ぐには出てこなかった。
それに先生に見付かって、学校から追い出されている間にパトカーは校門から出て、走り去って行った。
「半田さん、岸元君。ごめんなさい、私警察署に言い忘れた事を言いに行かなきゃ。」
「ええっ!?ちょっと後藤さん!?私も着いていくわ。一人はダメよ!!」
パトカーを追い掛けて走り出した私の後を、何故か半田さんが必死の形相で追い掛けてきた。
鈍足の私は横断歩道で追い付かれて、ガッチリと肩を捕まえられてしまった。
アイタタタタ!?握力、半端無いよ?
肉が、二の腕の無駄なお肉が指の形にむにって!!
岸元君と春日井さんは、和田君を含むあの時の他のメンバーに連絡して後から来るそう。
「ゼェ…ハァ…あなたね、今、物騒だから、複数で帰るって、決めてた、でしょう!?」
「ハァ…ハァ…ぱ、パトカーがぁ。警察、の人に、会いに行くから、安全、だとっ、思います!!」ゲホゴホッ
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