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「猫又?」
「ああ……後藤さんはまだ知らないっけ?自分を殺した相手を一人道連れに出来るんだよ」
「へぇ~、じゃあ人間に有利って訳?その割には和田が焦ってたけど……。」
聞き慣れない役職名に思わず聞き返すみたいになった私の言葉を耳聡く拾った岸元君はニヤニヤしながら説明してくれた。
隣に居た小森敦也君が私の疑問を代弁してくれた。
「はぁ……自分を殺した相手だから、処刑されたら恨みが生き残っている村人も含めて全員に降り掛かっちゃうんだ。ランダムで道連れされたのが、狼なら良いけど、中にはその役職のせいで、道連れに道連れされてっていう道連れ連鎖が起こってね。」
「はいはーい!!俺知ってるぜ、その話。」
ニヤニヤする岸元君と元気に手をあげた淳大君は、げっそりした表情の玲一郎君を他所にその多重連鎖道連れ地獄を詳しく説明してくれた。
まず、猫又が処刑され→村人が道連れに。この村人が恋人という役も持っていた。→恋人の片割れが後追いする→後追いした恋人が妖狐という第三勢力だった。→妖狐の眷族である背徳者が数名後追いで死亡。→戦わずして狼が勝利。
「ひ、酷いね。これは……何とも言えないよ。」
「うわ……やべえじゃん。なんつーピタゴラスイッチ(笑)」
「むしろ、パズルゲームの十六連鎖並みね。数名ってことは少なくとも五人は一気に人間sideが居なくなったのよね?」
予想外の大惨事にドン引きの私と小森君。
冷静に肩眉を少しあげて、具体的な被害数値を淡々と計算する玲香さん。
「そう、あの時は結構序盤で、僕達村人が優位だったのに、猫又っていう主張を信じなくって処刑されちゃったんだよ。確か、二十人くらいでやってて……。悪夢だ。」
今の人数は七人。
絶対に入れてはいけない職業だった。
「どうして信じなかったの?ちゃんと猫又だって、言ったんだよね?」
「そりゃ~このゲームだし、処刑されたら困る役職が嘘ついて猫又だって言った可能性も有るじゃん。」
ああ、そうだった。
対話で是非を決めるなら、その発言をいかに信じさせられるか勝負なんだった。
どうしよう、私もあまり説得力に自信無いよ~。
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