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――橙、二号です。
――同じく橙、こちらは六号を確認。
――了解。気をつけていきましょう、中型のやつが多いようですね。
暖色のやつがいるなら、色の濃淡や大きさはどうあれ、どうせ殲滅任務になるのだ。
面倒な確認なんぞやめにして、始めてしまえばいいものを。
椎名は、暗がりを照らすライトから嫌そうに目を背けた。
色分けは人類に対する危険度合いを、号数はサイズを表している。
もちろん、スキャンしたデータを詳細に見ている指令室では、もっと細かなカテゴライズがされている。
何色の何号なにがしだというのは、現場でおおよその感覚を共有するための、おまじないに近い。
とりあえず、橙二号なら小動物程度の大きさの、六号なら大型犬程度の、少々危険のある地球外生命体ということになる。
「ちょっと椎名、集中できてないんじゃない? さっきの、根に持っているんじゃないでしょうね? わざとらしく溜め息をつかないでくれる?」
「暇なのか、速水所長殿。任務中のプライベート回線は違反行為だろ」
「ずいぶんね。隊長くんのお守りは退屈かしら? しっかりサポートしてあげてよね」
「ご執心なことで。でもまあそうだな、せっかくだから愚痴でも聞いていけ。もう少しマシな仕事はなかったのか?」
「あら、立派な任務じゃない。地球の平和を陰ながら支えるわが研究所が誇る作戦部隊ガーディアン、その新米隊長の初陣よ」
「お守りの話じゃない。廃ビルだの下水道だの山奥だの、降りてくる仕事は端っこばっかりだろう。もう少しないのか、地球の平和とやらに貢献している感じのやつは」
「椎名、あなた大丈夫? 表立って地球の平和に貢献するようなお仕事は、命がいくつあっても足りないわよ。毎日、どれだけの脅威が地球にふりかかってると思ってるの」
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