雨の日の憂鬱

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 ふと、女の子の足首に目が行く。  やせ細った足首には、鉄の輪がはめられ、そこからつながった太い鎖が、壁へとのびて、コンクリートに固定されている。  彼女は、牢獄のような部屋に幽閉されているのだ。  まるで、ホラー映画の一場面のようだった。  あたしは、おぞましさに背筋をふるわせた。  そのとき……。    また物音がした。  ミシリ、という、板がきしむ音。  階下?  階段?  あたしはぼんやりとした頭をふりはらうように、ベッドから起き上がる。頭痛はだいぶよくなっていた。  きっと、あの物音もまた幻聴なのだろう。  そんな思いから、警戒もせずにドアに近づいた。  突然、どーんと爆発するように、ドアが開いた。 「きゃあっ」  黒い影が、ドアの向こうの空間から突入してきた。  影があたしにぶつかった。あたしは床にたおれた。と思った時には、影にのしかかられて、押さえこまれていた。
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