2 魔術師のレッカと魔道具

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 ***  魔力を持つ人間と持たない人間の違いは何かというと、制服を着ているか否か、それだけだ。一般庶民のハルトが私兵団に入れるのだから間違いない。理屈は分からないが、制服には魔力がこめられていて、強くなるにはそれを使いこなす訓練や制服の進化が重要だった。  常識のつもりでそう言ったら、レッカに首を傾げられてしまった。  レッカ達魔術師は、制服は神様からの祝福で神聖なものだと考えていた。変えたいなんて発想にならないのも納得だ。  祝福という名の許可を与えられ、人は魔力を扱えるようになる――私兵団でも建前では似たようなことを言っている。何が違うのだろうか。 「私は制服に魔力があると言うより、魔道具に近いものだと思ってます」  魔力持ち専用の道具のことなのは知っているが、使ったことはない。レッカ曰く、その人の魔力を引き出したり、お互いに作用して特殊能力を発揮したりするものらしい。  実際に店を見てみたところ、狭い店内に同じ形のものがやたら並んでいること以外は、普通のアクセサリーや日用品と変わりなかった。値段はみんなバラバラ。魔道具によって相性のいい魔力の色や、魔力の伝わりやすさが異なるため、そうなっているとのことだ。  そもそも、魔力に色があるなんて初耳だった。魔術師は魔力に詳しい人達らしい。  
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