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3 対決? 後将軍シェーンハイド
シェーンハイドと話がしたい。いい方法はないかと隊長のオーダンにハルトが相談すると、分かりやすく驚かれた。
「それはお前が後将軍に図々しくも話しかけたことと関係があるのか? まだ制服にこだわっていたのだな」
「もし、奥さんに変な制服って言われたら、隊長ならどうします?」
「急に何だ」
訝しそうに眉根を寄せたオーダンは、自分のがっちりした剥き出しの腰に手を添えた。
「どうなっても知らないぞ」
不承不承オーダンが手紙を書いてくれ、ハルトは後将軍にお目通りが叶うことになった。ハルトの動向が気になっていたのだろう、レッカが私兵団を訪ねてきたのでそのことを伝えると、一緒に行くと言い出した。彼女は彼女で、ブローチを譲るべきではないかと悩んでいたらしい。
町歩きの日から数えて5日後。約束の日を迎え、ハルトは石の敷かれた通りを進みながらチラリと空を見た。珍しく灰色の雲に覆われている。柔らかい光は地上に届いていたが、東の空を上昇中のはずの太陽はどこにあるのか定かではない。
城壁が見えてきた辺りで、予定よりも早くレッカと合流することができた。挨拶を交わした彼女はちょっと顔つきが硬かった。
「レッカ。少し回り道してもいい?」
緊張、不安。物怖じすることがほとんどないハルトにしたって、それは同じだ。多少はマシになるだろうかと、遠回りをして城の空堀の前の道を長く歩くことにした。もしかしたらあの占い師がいるかも、という細やかな期待もある。
延々と続く砂混じりのレンガ道。言葉少なに歩いていたハルト達は、そこで、期待していた形とは違ったが彼女に会ったのだ。
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