ある雨の日と少女

　効率優先で自分の道を曲げない彼女には友人が少なかった｡もちろん恋人などいるはずもない｡

　少女は恋人がほしいと思ったことはなかった｡むしろ､「恋人がほしい」と言う人たちに苦手意識を持ってすらいた｡その言葉に「誰でもいいから恋人持ちというステータスを得たい」という含みを感じていたからだ｡考え方がひねくれていると言われてしまえばそれまでだが､彼女にはそう思えてならなかった｡

　少女は､自分に可愛いげがないことをよく知っていた｡

　もう少し自分に愛される要素があれば､生きるのも少しは楽だったろうか｡少女は時々思う｡ただ､一度固まった性格はそんな簡単に変わるはずもない｡

　少女のため息は､山鳩色の町並みに溶けて消えた｡