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そのとき、叩きつける水の音に混ざって、どこからか別の音が聞こえてきた。
左の道脇を見ると、営業しているかもわからないくらい古びた、自営業らしいこぢんまりした煙草屋さんがあった。そのもう1つ奥の建物――えんじ色の屋根の大きな建物――から、音は聞こえているらしかった。
少女はその建物に近づいた。ピアノの音らしいものが聞こえる。少女は今まで毎日通ってきた道なのに、今初めてその建物の存在に気づいた。
これはピアノの教室か何かなのだろうか。もしくはここの住民が趣味で弾いているのだろうか。
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