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それからあっという間に期末テストも終わり、冬休みに突入。そして、待ちに待ったクリスマス当日──。
「いらっしゃい、平井さん! 夏以来よね。章臣にいくら言ってもなかなか連れてきてくれないんだもの。会いたかったわ!」
先輩の家に到着し、玄関に入るやいなや、私は先輩のお母さんにガバッと抱きつかれてしまう。先輩のお母さんとうちのお母さん、何気に気が合うかもしれない。なんとなくノリが似ている。
「おい、平井さんが困ってるだろう? ごめんね、いい年してはしゃいじゃって」
「何よ、いい年って! ひどいわね!」
お母さんに食ってかかられ、眉を下げてオロオロしている先輩のお父さん。うん、父親同士もうちと似ているかもしれない。
「あの、はじめまして! 平井まどかといいます」
お父さんには初めてお会いするので、私はニッコリと笑ってお辞儀した。顔を上げると、嬉しそうな顔のお父さんと目が合う。
「こちらこそはじめまして、章臣の父です。家内も親父も平井さんをえらく気に入っちゃって、僕もぜひ会ってみたいと思っていたんだよ」
「ね、可愛いでしょ? 娘が欲しいと思っちゃうでしょ?」
「はいはい、わかったから」
お父さんは苦笑いを浮かべながら、家に上がるように促してくれる。私は「お邪魔します」と言って、夏以来となる藤沢家に足を踏み入れたのだった。
*
リビングに通されると、おじいさんが「おぉ、おぉ! よう来たなぁ!」と大歓迎で出迎えてくれる。私は挨拶をして、辺りをキョロキョロと見渡す。あれ? 肝心の先輩がいない。
「章臣か?」
おじいさんの声に「はい」と頷くと、おじいさんは「台所におるけど、もうすぐ来るぞ」と答えてくれた。
台所……? 私が首を傾げていると、廊下からドタドタと激しい足音がした。
「母さん、放置すんなよ!」
「せっ、先輩……!?」
けたたましくドアを開け、リビングに入ってきた先輩とバチッと目が合う。
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