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03 赤髪の少女狩人
散漫な情報収集で得られるものは少ない。それは、経験上理解していることだったけれど、それでも少しでも事件解決が進めばとわたしと羽村くんは手分けして街を彷徨うのだった。
錆びていく街、縁条市。この街は、少し日が落ちてくればすぐに人の気配が薄くなる。夕闇の公園の入口、銀のパイプに腰掛けて藍の空を見上げると、わたしの真上をカラスが横切っていった。
「…………もう夜か……」
目の前の道路を、若い夫婦が通り過ぎていく。帰宅どきの平和な夜の街。穏やかなアコースティックギターの音色でも聞こえてきそうな暖かな夜に、ぽつんとはみ出してしまった自分自身。
「………………」
こんな風におしゃれな服を着てみたりしても、自分がはみ出しものだという事実は消すことができない。カーブミラーに映る赤い髪も。この細腕に宿る、得体の知れない怪力も。そして、異常現象と対峙し、殺人事件なんかに向き合い続ける毎日も。
錆びた電話ボックスの中で揺れる、カタチのない人型の幻覚を見ながら考える。
――この世には、大きく五つにカテゴライズされる異常現象がある。
呪いに起因する第一から第三と、呪いに起因しない第四と第五現象。
”五大異常現象”。
それを討伐する狩人と、そして、狩人にはまったく不似合いな自分自身。
「…………ふふ」
さみしい笑みがこぼれてしまう。昼からも夜からもあぶれた高瀬アユミという名のわたし。
どっちつかずな夕暮れの住人。まだ、狩人として命を奪ったこともない。要するに半人前だ。
「かなしいなぁ……」
何者でもないということは。ここに存在していること自体が間違いに思えてくる。事実その通りなんだろう。わたしは先生とも羽村くんとも違う、何寄りでもない灰色なんだ。
じっと、自分のまっくろな影を見つめる。
「…………そういえば、」
影で思い出した。この近所に、見た目が真っ黒い影のユーレイさんがいたような。ただ人と遊びたいだけの何の害もないユーレイということで放置されているけれど、元気にやっているのだろうか。
噂をすれば影。
「――――――あ」
目の前に、立っていた。あるいはそういう性質でもあったのか。想像すれば現れるというのは、ありがちなホラーだろう。もっとも、ぴょこぴょこと手をふる姿には愛嬌しか感じないのだけど。
「こんばんは、影子ちゃん。ここにいたんだね」
こくこくとうなずく小さな女の子の影。身長は小学生くらいだろう。二つ結びで、スカートを履いている。ただし見た目は真っ黒い影。でもその手に変わったものを持っていることに気付いた。
「え、ゲーム機?」
嬉しそうに腕を振る。ゲーム機なんて珍しい。影子ちゃんは言葉を話せないので、わたわたというジェスチャーを読み解くと、誰かにプレゼントしてもらったようだった。
「そっち? 誰かいるの?」
影子ちゃんは、わたしの腕を引いて遊具の方へ。相変わらず人懐っこい。人懐っこいのに子供に怖がられて、出会った時は悲しんでいたっけ。
連れてこられたのは、すべり台と一つになったトンネル遊具の中。そこには、のみかけの汗をかいたタピオカミルクティーと、なにやら絵画のように美しい不思議なひとがいた。
「クロちゃん、チョウザメ! チョウザメ釣り上げた! でけぇ!」
麗しい見た目に反して、子供みたいにはしゃいでいたのだけれど。
甲高い金属音が鳴って、羽村くんの片ピアスを思い出す。金のイヤリングは大きな十字架の形をしていて、パーマの掛かった髪にとてもよく似合っていた。
クロちゃん、と呼ばれたのは影子ちゃんか。影子ちゃんはぱたぱたとトンネルの中に入っていって、二人してゲーム画面を覗き込み、手をつないで小躍りしている。どうにも影子ちゃんの友達らしい。
「――あれ、クロちゃん。そのひとはどちら様?」
その人が、わたしを見た。その瞬間に、不思議な引力を感じて目を奪われる。パーマのかかった明るいショートヘアが片目を隠し、目元には赤みのアイシャドウ。人好きのしそうな猫の笑み、ゆったりとした空気感のある服装。雑誌モデルみたいに容姿の整った人だったのだ。
「わたしはアユミ。影子ちゃんの友達、かな?」
「そうなんだ。僕もクロちゃんの友達さー」
あはは、あははと笑って影子ちゃんと踊っている。影子ちゃんも楽しんでいて、本当に仲良さそう。
「クロちゃんはね、さみしい僕の相手をしてくれる素敵な友人なのさ。君もクロちゃんの友達なのなら、僕とアユミちゃんは友達の友達ってことになるね」
不思議。その人がしゃべるだけで、トンネル遊具の中がアトリエみたいになる。
「一緒に『いつ森』やる? やるでしょう、やるに決まってる」
言われて考え込む。いつ森?
「……ああ、もしかして最近流行りのゲームかな。いつまでもどうぶつの森、だっけ」
「そ。大流行中の国民的ゲームさぁ」
こくこく、と影子ちゃんもうなずく。
「えっと……ごめん、ゲーム機は持ってない、かな」
「そうなの!? そんな人いる!? いつ森だよいつ森! いまどきはユーレイだってやってるのに!!」
こくこくこく、と激しく影子ちゃんがうなずく。そして私の隣に座り、袖を引いてくる。一緒にやろうってことだろう。
画面の中で、動物の住人たちがせわしなく動いている。海辺で釣りをするけど何もかからない。さっきチョウザメがどうとか言っていたのはこれか。
わたしの隣に影子ちゃん、少し離れて友人さん。
「キミもユーレイが視えるんだね」
ゲーム画面を見ながら、言ってくる。
「僕も同じなんだ。むかしは怖かったものだけど、冷静に考えればそれほど悪いことじゃないよね。こうしてクロちゃんとも友達になれたし」
「あの……」
「ん? なんだい?」
歌うような優雅な声。芸術品みたいな横顔に、問いを投げる。
「あなたは男の子ですか? 女の子ですか?」
「――――――、」
ぴた、と石のように停止する。そして壊れたように笑い出した。トンネルに反響する。
「な、なるほどそう来たか。いや、それは予想もしてなかったな」
「ごめんなさい……本当に分からなくて。美人さんだから」
「美人? 僕を美人って言った? ありがとう、褒められるのは悪い気はしないね」
胸に手を当て、舞踏会のような優雅に自己紹介してくれる。
「僕は右京ヒカル。れっきとした女だよ」
「そ、そうだよね。ごめん」
「女の子なのに僕なんて言うのがおかしい? まぁ、そりゃそうか」
言われて、黒セーラ服の先生が不敵に肩を竦めるのが思い浮かんだ。
「……そうでもないかな。わたしの身内にも、そういうひといるし」
「そう。その人とは仲良くなれそうだなぁ」
美しい顔立ちなのに、なんて人懐っこい笑み。不思議な人だ。
「僕はね、友達が少ないんだ。学校もやめちゃってるからね。だからこうしてクロちゃんに相手してもらってる。クロちゃんは本当にいい子でさ、交通事故に遭いかけてた子供を助けてたんだよ。なのに怖がられてて、そんな姿を見たら、なんとかしてあげなきゃって思うものだろう?」
影子ちゃんが、照れたように頬に両手を当てている。表情はないけど表情豊かだ。
「だから、僕が助け舟を出してみた。僕の魔法で動いてる僕の影だ、って子供に言い張って難を逃れたんだけど。その縁で二人で遊ぶようになったってわけ」
「なるほど……」
「よし、次は野菜を育てるよ! クロちゃん、トマトの種ってどこにあったっけ」
画面越しにつながっているらしい。キャラクターがわたわたと家の引き出しからアイテムを引っ張り出し、ヒカルさんのキャラクターに手渡した。真っ暗なトンネルで、ヒカルさんの楽しげな白い顔が照らされている。
「………………」
その背景にゆらゆらと揺らめく影を見た気がして、目をこする。見間違いじゃない。この人は……。
「ねぇヒカルさん、呪いって信じる?」
わたしは雑談のように切り出した。
「呪い? なにそれ。おまじない的な?」
「現実を歪めちゃう、怪しげな力のこと。おまじないっていうのも間違いじゃないね」
「うーん。ユーレイがいるんだから、呪いくらいあるかもねぇ」
表情は変わらず、真意は読めない。けれどこの人はおそらく『呪い』を持っている。
「ヒカルさん。わたしも、ヒカルさんと仲良くなりたいな。もっといろいろ教えてほしい。ユーレイが視える仲間として」
「そう? 僕もさ、アユミちゃん。すっごくおしゃれだよね、気が合う気がしてるんだ。今度一緒に服買いにいこうよ」
にっこりと笑みを浮かべる。ヒカルさんはウィンクを向けてくるけれど。
――異常現象狩りであるわたしは、呪いを持ってる可能性があるヒカルさんを調査しないといけない立場にある。
「……そうだね。商店街におすすめの店があるよ」
「いいね! ――あ、でも安い店だと助かるなぁ。正直、あんまりお金なくて」
「大丈夫。けっこう安売りもしてるんだよ」
こんこん。そこで、なぜだか外からトンネルを叩く音が聞こえた。
「――クロちゃん、お客さん?」
ヒカルさんに言われ、影子ちゃんが首をかしげる。子猫のような四つん這いでトンネルの出口に向かっていった。
「誰だろう。気になるな」
ヒカルさんが、じっとトンネルの出口を見つめている。じっと、ただじっと。
そして影子ちゃんが無防備に顔を出した途端――
「!?」
トンネル全体が揺れる。ヒカルさんの行動は早かった。
「だめだ、クロちゃん!」
すごい勢いでわたしを越えて、影子ちゃんの片足を引っ張った。
「アユミちゃん、出口だ! 反対側へ! 急いで!」
まるで地震。何度も何度も重々しく、トンネルが崩れ落ちてしまいそうな勢いで激震する。
トンネルの壁に滲む色濃い呪い。わたしは滑るように、トンネル出口の街灯の明かりを目指した。
ようやく這い出る。すると、トンネルの反対側の出口におかしな巨体がいる。
「ヒカルさん、手を!」
「っ!」
細い手首を掴み、力ずくで引っ張り出す。途端、凄まじい轟音を上げて向こう側のトンネル出口が潰されていた。
「……怪我はないかい、クロちゃん」
こくこく、と影子ちゃんがうなずく。わたしたちに気付いた怪物が、その巨体をもたげてこちらを青く光る眼光で直視する。
――――赤色を基調とした、ひび割れた鉄の鎧だった。ただし身長は三メートルほど。巨漢の鎧武者が、殺意の視線でわたしたちを睨み据えていた。ヒカルさんが厳しい顔をする。
「………ユーレイ……悪霊、かな。でもあんなの初めて見た」
バチバチと輪郭が霞んでノイズを発する。凶悪な姿に、影子ちゃんがふるふると震えている。
「くそ、逃げるしかない。二人とも、僕の後ろに!」
ヒカルさんが、草むらに埋もれていた鉄パイプを拾い上げ、わたしたちを背中でうながす。
「アユミちゃん、足に自身はあるかい?」
「……それなりに」
「そうか、僕も陸上部だったから走るのは得意だ。でも武道はからっきしでね」
ずしゃん、と金属音を立ててにじり寄ってくる。ずしゃん、ずしゃんと走り出す。
「! まずい、逃げよう! クロちゃんこっち!」
「!」
月を隠すように天高く飛び上がる。すさまじい超重量が、わたしたち目掛けて落ちてくる!
「うああ――ッ!?」
地震が、夜の街を揺るがしていた。大地に冗談のようにクレーターが形成。わたしたちは奇跡的に危機を回避しているけれど、その、鎧武者が振り下ろした金属塊を見てヒカルさんが青い顔をした。
「なんだよ……何なんだよ、それ……!」
重量、数トンはありそうな、巨大な鉄槌だった。黒光りするの鉄の塊。人間なんてあっさり平面にされるだろう。それが横薙ぎに振るわれるのを、三人で必死に逃げる。
「!」
轟音。ジャングルジムが、一撃で半壊する。めり込んだ鉄槌を軽々と肩に担ぎ上げ、鎧武者はわたしたちを睥睨した。
「くそ、こんなの……!」
その顔の部分で、青い火の玉が燃えている。ゴゥ、と勢いを増して殺意を訴える。
「け、警察を……!」
「無駄だよ。呼んでる間にわたしたちが潰される」
わたわたと、ヒカルさんが携帯を取り落しそうになる。冷静さを失いかけている。彼女が呪いを使おうとする様子はない。
「…………気のせい、だったのかな」
「え、アユミちゃん? 何か言った? 逃げ延びるアイデアでも……」
わたしは首を横に振る。ずしゃんずしゃんと歩み寄ってくる鎧武者の眼前で、ヒカルさんの目の前に立ち、その手の鉄パイプに手を触れた。
「守ろうとしてくれてありがとう、ヒカルさん」
「な……何を、アユミちゃん? おかしなことを考えていないよね?」
「大丈夫。影子ちゃんを……ううん、クロちゃんをお願い。へたに動かないように、ここにいて」
鉄パイプを奪い取った。ずしゃん、ずしゃんと鎧武者は加速する。
「だ――だめだ、アユミちゃん! 何をする気だ!?」
わたしは逃げない。無防備に背中を晒して、ヒカルさんとクロちゃんに微笑みかける。
「いまから見るもの、聞くこと、秘密にしてね?」
「危ない! 逃げて、お願いだから! 馬鹿なことは考えないでくれ、頼む――!」
ヒカルさんは、本気でわたしを心配してくれている。初対面のわたしを。きっといい人だ。
背後で轟音、鉄槌がわたしの脳天目掛けて振り上げられたのだろう。
「うわあ、ああああぁぁぁっぁあぁぁああああああ――ッ!?」
ヒカルさんの悲鳴。
それを掻き消すように金属の雷轟が鳴る。
公園全体を揺るがした一撃は、暴風を振り撒き、木々を仰け反らせて衝撃波を生んでいた。
そして、わたしが両手で構えた鉄パイプは――――微動だにしていなかった。
「!?」
ヒカルさんが、鎧武者が驚愕を浮かべる。
わたしの構えた鉄パイプの先端が、数センチ潰れながら、数トンの鉄槌を当然のように受け止めていた。その隙を逃す手はない。わたしはするりと懐に滑り込み、静かに鉄パイプの先端を突き出した。
「っ!」
また、衝撃波。ヒカルさんとクロちゃんが頭を伏せる。わたしが突き出した鉄パイプは鉄槌に防がれ、再び横薙ぎに振るわれる超重量。それをわたしは、下からすくい上げるように打ち上げた。その一撃で、わたしの足がガンと地面を踏み砕き、新たなクレーターを形成していた。
「!」
突然の下からの衝撃に、鎧武者がのけぞる。目は逸らさない。その鎧の肩の部分、結合が甘そうな箇所に狙いを定めた。それを察知したとでも言うのか、幾度も、幾度も鉄槌を振り下ろしてくる。そのたびに大地が割れ、豪風が吹き乱れ、まるで洗濯機のように公園の大気をかき混ぜた。
金属音の乱打がいつまでも響く。すべて受け流す。わたしの足元を狙った一撃が来る。
「――――それを、待ってたよ」
雷鳴。わたしは右拳を容赦なく鉄槌の表面に突き落としていた。今度こそ、地割れが起きる。地面に半分ほど陥没した鉄槌は簡単には持ち上がらない。それを飛び越え、鎧武者に肉薄。後退しようとする足の甲を踏みつけ、その右肩の付け根目掛けてビリヤードのように真っ直ぐに鉄パイプを突き出した。するりと滑走を始めた一撃は、着地点では不思議なことに鼓膜まで突き刺さる金属の炸裂音を発する。
「――――――、」
クジラのように打ち上げられる、鉄の砕け散る衝撃。鎧武者が猟銃で撃たれように激しくのけぞり、わたしの打ち出した鉄パイプは、根本まで嘘みたいにめり込んでいた。
「――――”六道”、」
右拳を強く握り、弓のように引き絞る。
長引かせるつもりはない。
体勢を崩した巨体の急所を見据え、留まることのない激流をイメージする。
「”沙門”」
飛び込むと同時に突き出した拳は正中線を穿つ。そこから地面に突き刺すように軸足を落とし、勢いのままに体を反転。二打目は鞭のような回し蹴り上げ、三打目は加速した回転に連動した左裏拳が鎧を穿ち砕き、四打、五打、どこまでも際限なく加速し隕石の如く重さを増していく。
大きく滑走した右回し蹴りに、これまでの加速のすべてを上乗せ《ベット》し、最大威力で鎧武者の巨体を薙ぎ飛ばす――!
「打ッ!」
――斬、なんて可憐な音はなく。
鉄柱を引き千切るような無残な音と、空からトラックが降ってきたような巨大な地響きと共に。軽々と跳ね飛んだ巨体はジャングルジムを突き破り、ブランコを倒壊させ、タイヤ遊具を四つ突き破ってブロック塀にめり込んだ。衝撃で砂場の砂が舞い上がり、ばさばさと雨のように降り注ぐ。
「…………」
油断なく見据える。砂の雨の向こうで、鎧武者は黒い呪いを散らして消滅していった。跡には、壊れた公園の風景だけが残されていた。
「ふぅ……」
一安心。肩の力を抜き、伸びをする。
「キミは、一体……」
クロちゃんを連れたヒカルさんが、声を掛けてくる。
「えっと、その。腕力には自信がありまして」
「そういうことじゃない。あれは、あんなのは――」
真っ当な暴力じゃない、と言うのだろう。まったくその通りだ、誤魔化しようもない。
「…………教えてほしい。キミは、一体なんなんだ」
何か、ヒカルさんが一瞬考え込んでいた気がした。そして真剣に問うてくる。何か、どうしても知りたい理由があるのかも知れない。
「本当は知識を与えちゃいけないんだけど……」
けれど、目の前で悪霊退治の一幕を実演しておいて隠し通すなんて無理があるだろう。なので諦めることにした。
クロちゃんはとっくに知っていることだけど。
胸に手を当て、高瀬アユミは本当の自己紹介をすることにした。
「――――わたしは”狩人”。有害な呪いを狩る者。縁条市所属異常現象狩り、その一員なの。」
夜闇の公園で。
電灯に照らされながら微笑みかけると、ヒカルさんは息を呑んだ。
「狩人…………呪いを狩る、者……?」
そうして、また何かを深く考え込んでいる。
「…………そうか。はは、そんなものが実在していたなんて。そりゃそうか、ユーレイがいるんだもんね。対抗する人間が組織を作るのは当然か、はは、あはははっ」
そしてまた、けらけらと笑い出す。そのどこか追い詰められたような表情に、わたしは疑念を抱くのだった。
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