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――メモリースティック……?
「……そう、今度会うときまで……ね」
「ああ、いいけど……」
「……頼むよ」
タバコで燻されたような苦味のある匂いが近付く。美希の額に小さなキスが落た。ふっとその匂いが遠ざかる。
:
榛名のランドクルーザーは深夜の街を静かに駆け抜けた。鼻を突くジッボーライターオイルの匂いのあと、タバコを燻す匂いが車内に立ち込めた。運転席のパワーウィンドウが細く開く。雲はどんよりと垂れ下がり、隠された月明かりが溶かした絵の具のように空一面に広がっている。今にも雨粒が落ちそうな夜だった。湿り気を含んだ風がなびく髪に纏わりついた。
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