プロローグ

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1 ▷次の日    肌の調子がよかった。化粧の乗りがいい。精神安定剤になるのか、信也とのセックスの後はよく寝ることが出来た。  いつも立ち寄るコンビニで眠気覚ましの栄養ドリンクも買わず、会社に早く着いた。まだ信也が美希の身体の中にあるようでおだやかな気持ちだ。  :  :  システム営業部はアルコール臭さに溢れていた。    始業時間前にも関わらず、もうシステム営業部の部長室の前の席に数人の男性社員が群がっている。システム部長里井航のイエスマンの面々だ。   「おはようございまーす」   「あのさ、昨日飲んで帰ったんだけどよお。朝起きるとなんだか部屋がキレイになってんのよ。結構ベロンベロンだったんだけどさあ」    イエスマン――数名の里井に従順な者たちの中央に事務椅子に前後ろ逆で馬乗りのように座った里井が機嫌良さそうに白い歯を見せている。昨夜の菜々葉と里井のことを想像すると、美希は何故か苦虫を噛むような思いだ。   「それは部長がキレイ好きだからじゃないっすか?」    とイエスマンの一人が言ったあと、「ガハハ……かも知れねえな」と里井の豪快な笑い声が部屋に広がった。  
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