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2 ▷奈々葉
奈々葉はぼんやりとしてスマホを見たり、急にニコッと微笑んだり自分の世界にいるように見えた。
「コラ!」
奈々葉の耳元で手を叩く。
「な、何よ?」
夢から覚めたように、菜々葉はアーモンドの瞳を見開いて美希を見た。その潤んだ瞳が恋する少女のようにもみえる。菜々葉は昨夜の信也とのことを気づいているのだろうか、とふと頭をよぎった。自分のことを後目に菜々葉の恋愛相談に乗ろうとしている。
――何やってんだろ、私……。
「奈々葉……」
美希は昼食時間だと言わんばかりに、自分の腕時計を指差した。アーモンドの瞳が壁に掛かった時計に動いた。
「どうしたの? 奈々葉、恋する乙女みたいな顔してる」
「恋する……何それ?」
「ボンヤリ自分の顔見てたり、って思えば、ニッコリ笑ったり、今だって……」
「今も?」
「奈々葉の目、ウルウルしてるし……。私、聞くよ。話……」
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美希と菜々葉は社の展望デッキで食事をすることにした。
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