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「……ホント……なの……」
「……で、部長は……?」
「…………忘れてるみたい……完全に……それに私……」
――ご主人、信也さんはどうするの?
「……二人の恋は険しい……よね?」と、菜々葉の顔を覗き込んだ。手のひらを彼女の頭に置き、優しく撫でる。
奈々葉の頬を伝った涙が、彼女の箸を持つ手に落ちた。
化粧ポーチから出したポケットティッシュを奈々葉に渡す。
「…………うん……色々……ね?」
菜々葉は受け取ったティッシュで涙を拭った。
「……上手くゆくといいね? 私、応援していい?」
――私、心にもないことを口にしちゃった。
「うん……、ありがと……」
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