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恋(完)
彼女が生まれてから、会える時はいつも彼女と会い、まるで本当の恋人のように愛し、恋をしてきた。
妻と別れてからは、彼女は俺より稼ぎの良い妻に連れていかれ、会える頻度も減って行ったし、口数も減ってしまった。
それでも良い。
会えればその度に嬉しかったし、胸が高鳴った。
成長し、綺麗になっていく彼女に俺は嬉しさと寂しさを感じていた。
会うこともままならなくなった矢先、姿の変貌した彼女と出会った。
警察へ行き、人の変わった彼女の、弱い姿を見て、俺の見ていた彼女は、ごく一部だったのだなと知った。
同時に、彼女の弱い部分を支えてあげたいと思った。
彼女と共に暮らし、彼女の成長を感じて喜びながらも、やがて来るであろう日に少し寂しさと怯えを感じていた。
そして、やはり来た。
今、彼女は素敵な男性と主に、バージンロードを歩いている。
俺は、泣きながら彼女と旦那の姿を見る。
良かった、本当に良かった。
俺の手無しでも、幸せになってくれよ。
これは、俺の最大の失恋だ。
(了)
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