若旦那

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いつものように真っ白な毛布の上で寝ていると、隣で本を読んでいた若旦那が、僕に声を掛けました。 「おい、空太郎。今日はいい天気だぞ。お前はいつも寝てばかりいるけど、ちっとは外に出てかないか?」  若旦那はこう言うと、僕の頭を撫でた。若旦那がこうやって僕の頭を触る時は、大抵、僕に対して頼み事をする時か、もしくは、誰かに甘えたい時です。僕は若旦那の顔をチラッと見ました。 (ふーん。若旦那、さては僕の毛布を使いたいんだな。この毛布は肌触りが良くて、いい匂いがして、しかも綺麗だから、自分が昼寝をするのに使いたいんだな。若旦那も人が悪い。毛布を使いたいなら、使いたいって、はっきり言えばいいのに。まあ、でも僕は当分ここをどこかないけどね)  僕は若旦那を見るのをやめ、目を瞑りした。 「やれやれ。まったくお前って奴は、何て強情な猫なんだ。ちっとはご主人様に譲ろうって気はないのか?」
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