3

5/7
前へ
/67ページ
次へ
「追ってきてくれたんですか?優しいなぁ・・・」  違います、と言うその声は、ほとんど諦めに近い。弱弱しく、宮本は目を伏せた。 「そうそう、宮本先生。生徒にはもっと、ハッキリ言ってあげなくちゃ分かりませんよ。その気がないっていうことを伝えてあげなくちゃあ」 「あ・・・」  自分が、江口ならどうするだろうと思っていたことを言われて、宮本は不思議な気持ちになる。 「ま、俺の方は戸惑ってもらって大歓迎ですよ、迷ってる宮本先生も、エロイな」 「そんな・・・」  何か言おうとして、宮本は江口の唇に包まれる。  待機室の重い扉の鍵が、江口の手でガチャ、と締められたのが分かる。熱いその舌は、宮本の舌と絡み合って、執拗に何かを奪い去っていく。そのキスは、前回した時とは違う、甘く鋭い刺激だった。 「は・・・ああ・・・ん」 「ずるい。反則ですよ先生・・・嫌がったような態度したくせに、キスでこんなに感じて」 「ふ・・・あああ・・・」  止められない声と吐息。  二人の吐息が狭い待機室の中だけに響く。  格技場の待機室だけあって、防音は多少利いている。この声を誰かに聞かれることは無いと分かっているからか、声が止まらなかった。 「宮本先生・・・」  低く甘いその声に溺れていく。  一度その快感を知ってしまうと、もう逃げられない。江口の口づけはとても心地よく自分に溶け込むようだった。そのまま、シャツをまさぐられ、いつの間にかボタンまで外されていた。 「・・・ああ・・・おれ、は・・・」 「そんなつもりじゃないって?どの口が言うんですか・・・こんなに興奮してる。俺のキスで」  決定的な証拠が、宮本の恥ずかしさを増した。 そこを指先でそっと撫でられ、仰け反るようになった宮本の身体を、江口が抱いていた。 「ここも、触りたい」  そう言いながら、江口は宮本の尖った乳首を口腔に包む。口をすぼめて連続して与えてくる刺激と、暖かい舌が這い柔らかな刺激で宮本の心は蕩けだしていた。 「だめ、だめ・・・です、こんな・・・トコで」 「ここじゃなかったらいいんですか?録音しとけばよかったな」  クスクス笑って、江口は宮本のジッパーを下ろしていく。宮本は甘い刺激で痺れている頭で、一生懸命考える。 (このまま、こんなことをしていいのか?) (流されてしまっても・・・)  真剣な江口の顔が近づいて、宮本は息を呑む。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

418人が本棚に入れています
本棚に追加