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「追ってきてくれたんですか?優しいなぁ・・・」
違います、と言うその声は、ほとんど諦めに近い。弱弱しく、宮本は目を伏せた。
「そうそう、宮本先生。生徒にはもっと、ハッキリ言ってあげなくちゃ分かりませんよ。その気がないっていうことを伝えてあげなくちゃあ」
「あ・・・」
自分が、江口ならどうするだろうと思っていたことを言われて、宮本は不思議な気持ちになる。
「ま、俺の方は戸惑ってもらって大歓迎ですよ、迷ってる宮本先生も、エロイな」
「そんな・・・」
何か言おうとして、宮本は江口の唇に包まれる。
待機室の重い扉の鍵が、江口の手でガチャ、と締められたのが分かる。熱いその舌は、宮本の舌と絡み合って、執拗に何かを奪い去っていく。そのキスは、前回した時とは違う、甘く鋭い刺激だった。
「は・・・ああ・・・ん」
「ずるい。反則ですよ先生・・・嫌がったような態度したくせに、キスでこんなに感じて」
「ふ・・・あああ・・・」
止められない声と吐息。
二人の吐息が狭い待機室の中だけに響く。
格技場の待機室だけあって、防音は多少利いている。この声を誰かに聞かれることは無いと分かっているからか、声が止まらなかった。
「宮本先生・・・」
低く甘いその声に溺れていく。
一度その快感を知ってしまうと、もう逃げられない。江口の口づけはとても心地よく自分に溶け込むようだった。そのまま、シャツをまさぐられ、いつの間にかボタンまで外されていた。
「・・・ああ・・・おれ、は・・・」
「そんなつもりじゃないって?どの口が言うんですか・・・こんなに興奮してる。俺のキスで」
決定的な証拠が、宮本の恥ずかしさを増した。
そこを指先でそっと撫でられ、仰け反るようになった宮本の身体を、江口が抱いていた。
「ここも、触りたい」
そう言いながら、江口は宮本の尖った乳首を口腔に包む。口をすぼめて連続して与えてくる刺激と、暖かい舌が這い柔らかな刺激で宮本の心は蕩けだしていた。
「だめ、だめ・・・です、こんな・・・トコで」
「ここじゃなかったらいいんですか?録音しとけばよかったな」
クスクス笑って、江口は宮本のジッパーを下ろしていく。宮本は甘い刺激で痺れている頭で、一生懸命考える。
(このまま、こんなことをしていいのか?)
(流されてしまっても・・・)
真剣な江口の顔が近づいて、宮本は息を呑む。
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