果ての庭

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 どこかの県の民家から、古いつづらがひとつ発見されました。  良すぎる保存状態のそれにさてさてどんなお宝が、歴史的価値が、時代の証明が、と専門家たちがいろんな液体を分泌させながら開封。したはいいものの。  開けてびっくり、中に入っていたのは怪異妖怪魑魅魍魎。絶滅したと思われていたファンタジーや絵巻物の中の生き物__いやいきものではないんだけど、まあ要するにヤベー奴らが封印されていたのである。  さて、つづらから解き放たれたそいつらは、よく発展し繁殖した人間を見て大喜び。    知能を持つ妖怪なんかはうまく現代社会に馴染めたりしたわけだけど、一緒に封印されていた知能を持たない悪霊___「怪異」と呼ばれるものはそうじゃなかった。    怪異は自我を持つ化け物。人間になりたがっている。大型のやつは人間を襲って食べる。  つまり危険。共存不可能。百害あって一利なし。夜道で遭ったら逃げろ。情を持つな。    そんな前時代からやってきた在来種の災害指定害獣が急にやってきてもこの国が崩壊しなかった訳は、神様仏様の存在である。    怪異は聖なるものを避ける。    神様は怪異の存在に伴い、目に見える形で影響を及ぼし始めた。ありがたいことに、神様は見えなくてもそこにいたのである。  人間の信仰により力を強めた地母神や土地神のお力により、人間の安全は保たれていた。    でも神様がその化け物になるだなんて、誰が思ったことでしょう。     物語の舞台となるのは、危険都市「蠅庭」。  神の堕ちたそこに、野心家がふたり。          
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