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三十分後、解放された守はおぼつかない足元をどうにか支えて自分のデスクまで戻った。
森本の説教は心を折りに来る。
それをどうにか耐えるだけでもふらふらになるのだ。
「大丈夫?」
隣のデスクに座る同僚の千早楓がこそっと声をかけてきた。
同じ部署に所属する先輩であり、色々と世話になっている恩人でもあった。
「あ、はい……」
「元気出してね。ミスは誰にだってあるものよ」
「はい……でも、気を付けます」
「ええ、自分で気づけるのは良い事だわ。はい、これあげるから元気出して」
そう言って、楓は自分のデスクから取り出した小さな個包装タイプのチョコレートをいくつか守のデスクに置いてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「良いのよ。それ食べて、午後からも頑張りましょう」
「あ、はい」
ニコッと笑ってくれる楓を見ると、守は胸が高鳴るのを感じるのだった。
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