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その日の仕事終わり。
帰ろうとした守に楓が声をかけた。
「ねえ、高坂君」
「はい?」
振り返ると、楓も帰り支度を始めていた。
「決めた?」
「いえ、まだ……」
「そう。分かったわ。それと、この会はねメンバーを限定した秘密の集まりなの」
「あ、はい……」
「あんまり、人に喋っちゃダメよ?」
楓はそう言って、人差し指を唇に当てて見せた。
「は、はい。分かりました」
「専務の奢りでこっそり美味しいもの食べてる、なんてバレたら大変だからね」
「た……確かに」
「じゃあ、ゆっくり考えてね。お疲れ様」
楓は喋りながらも帰り支度を進めていたようで、言い終わると同時に席を立って去っていった。
「お疲れ様です」
その背中に声をかけながら、守も慌てて帰り支度をした。
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