お誘い

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 それから数日考えた結果、守は上泉にお邪魔させていただきますと返事をした。 「おお、そうかね。それは良かった。嬉しいよ」  がっちりと固い握手を交わしながら、上泉は嬉しそうに笑ってくれた。 「なかなか返事をくれないから、てっきりお断りされるのかと思っちゃったねぇ」 「す、すみません」 「いや、良いんだよ。来てくれるってんなら、それで充分なんだから」 「あ、ありがとうございます」  頭を下げながら、守は思った。  こんなに喜んでくれるなら、もっと早く返事をすれば良かったのだ。  この後、参加を決めたと楓に伝えると、彼女もまた大喜びしてくれた。  楽しみ。待ち遠しい。そう、繰り返し言う楓の圧に、ちょっとした怖さすら感じた。   きっと楽しくなる。  だが一点、どうしても気になる事はあった。  それが、なぜ自分がメンバーに選ばれたのかという事だ。  楓が推薦してくれたのだと上泉は言った。  その楓は、相応しいと思ったから推薦したと言った。  では、何を持って相応しいと感じたのか。  この部分がどうしても気になっていた。  ひょっとすると、あるいはもしかして、という思いはあった。  それが自分の思い凄しであるかどうか当日確かめよう、何としても。  守は秘かに決心を固めて当日を待つことにした。
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