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破
その匂いに、恵治はカッと、全身の血を逆流させた。
気付けば桐弥を引き寄せて押し倒し、その唇を奪っていた。
「け、け……い……じ……」
塞いだ唇の隙間から、息も絶え絶えに自分の名を呼ぶ桐弥を、愛しいと思った。
「桐弥……お前が、欲しい」
恵治が、強く抱き竦めて耳元で囁けば、桐弥は、ほんのり頬を紅く染めてこくんと頷く。
その反応に、歯止めが利かなくなった恵治は、再び桐弥に、深く口付けた。
唇を舐め、舌を差し入れ、歯列をなぞる。
舌を絡ませて強く吸えば、互いの唾液が水音を立てる。
唇から首、首から肩、肩から鎖骨へと接吻を繰り返す。
恵治の愛撫に桐弥の呼吸と着物が乱れ、胸が顕わになる。
桐弥の、華奢なようでいてほどよく筋肉のついた胸に、恵治は夢中でむしゃぶりつく。左腕を桐弥の首に回し、右手で角帯と腰紐を解いた。
右胸の突起に舌を這わせ、左胸の突起を右手で愛撫する。
両胸を攻め続けると、次第にその先端が、主張を強くする。
「固くなった」
恵治はそう呟き、口に含んだ右胸の突起を、軽く甘噛みした。
「あ、んんっ、ん……」
桐弥が、漏れる嬌声を抑えようと口を閉じた。
「気持ちいいのか。これはどうだ」
右手の指に力を入れ、左胸の突起に力を加える。
「あ、うあぁ……ああっ」
両方の胸を同時に攻めれば、抑えきれない嬌声が、四畳半に響き渡った。
「と、とうや」
恵治は桐弥を強く抱き締め、固くなり始めた自身を、その太腿に押付ける。
「あ、んん。け、恵治っ」
桐弥に名を呼ばれれば、全身の血液がそこに集中し、一層の重量を増す。
「桐弥も……俺を感じてくれるのか」
桐弥の顔を引き寄せ、再び唇を塞ぐ。舌を舌で絡め取り、すっかり固くなった自身で桐弥の太腿を擦る。
「ん、んんっ」
「んん、ううっ、はあぁんっ」
桐弥の息が次第に荒くなり、腹の辺りに固い物が押しつけられる。
二人の唇の重なりから、止めどなく唾液が流れ落ち、二人の身体を濡らした。
恵治は唇を塞いだまま、左腕で桐弥を抱き、右手で足の付け根を弄った。
「はぁっ、あ、んっ」
自身のものと同じく、固く屹立した桐弥のものを探り当てて握れば、桐弥の口から声が漏れた。
「ああ、これが桐弥……こんなに大きくなっているとは。嬉しいな」
そうして恵治は姿勢を変え、桐弥を仰向けに寝かせた。
左手で包皮を下げ、剥き出しになった先端に右の手を添える。指を使って根元まで擦り、何度も何度も、往復を繰り返した。
「ん、ううんっ」
同時に、左右交互に胸の突起を舐め、時折、固くなったその付け根に歯を当てる。
「うんっ、はぁっ」
その度に、桐弥の身体はびくりと跳ね、反応を示す。
「桐弥は、乳首も弱いんだな」
顔を上げた恵治は、唇から雫を垂らし、嬉しそうに微笑んだ。
しばらくの間、緩急をつけた愛撫を続けると、桐弥が声にならない声で訴えかけた。
「ふぁあっ、も、もう……」
「なんだ、もうイクのか」
その意図を読みとった恵治は、先ほど脱がせた腰紐を探り当て、桐弥に見せる。
「まだ、ダメだ」
そうして恵治は、桐弥の根元をきつく腰紐で縛った。
「これで、お預けだな」
「そ、そんな。恵治っ」
絶頂の直前で快楽を断ち切られた桐弥の抗議に、恵治は、恍惚の微笑み浮かべる。
苦痛に喘ぐ桐弥は、なんと綺麗なのだろうか。
漆黒の髪に黒い瞳。
白くなめらかな肌。
恵治は、彼の両腕を寝台に押さえつけ、悶え苦しむ顔を、じっと見つめた。
「桐弥、苦しいか」
そっと顔を近付けて、耳元で囁く。
「ふあっ、ああ」
もどかしさに悶える桐弥には、返事をする余裕など無い。それを分かっていて、恵治はもう一度尋ねる。
「なあ、どっちだ」
そうして再び、桐弥のものを強く握る。先端からは既に、液体が溢れ出ていた。
「あ、ああっ」
自由になった桐弥の手が、根元の戒めを解こうと藻掻いた。
恵治は、周囲に視線を巡らし、腰紐の他に角帯があることに気付く。
「桐弥、大人しくしてろよ」
「け……け、い、じ、なにを……」
戸惑う桐弥の両腕を、角帯を使って素早く頭上で拘束する。桐弥のものが、びくんと震える。気のせいか、更に大きくなったような気がした。
「縛られて、感じたのか」
「そ、そんな……ことは……」
恵治が問えば、桐弥は羞恥に顔を逸らし、息も絶え絶えに否定する。
「嘘つき」
瞳に浮かぶ快楽の色を見た恵治は、桐弥の耳元で囁いた。
「なあ、桐弥。ここ、感じるだろ」
恵治は、液体の零れる桐弥の先端を指先で弄りながら、三度、胸元に舌を這わせる。
「はあっ、け、けいじっ。も、もう……」
「まだだ、まだ、イカせない」
「お、お願い……だから……」
懇願する桐弥の声に、恵治は全身がぞくりと震えるのを感じた。もっともっと、いじめたくなる。
「うあっ、あっんん」
桐弥の尖って固くなった乳首を少し強めに噛むと、また嬌声が漏れ、恵治は歓喜に打ち震えた。
「縛られて、気持ちいいんだよな、桐弥」
次第に耐えられなくなった恵治は、その素振りを見せず、右手で桐弥のものを掴み、左手で胸の突起を摘んだ。
「そ、そんな……」
それでもまだ、快楽を否定する桐弥に、恵治はほんの少しだけ苛立ちを覚える。
「ここを、こんなにしてるのに」
左手に力を入れる。
「はあん、あぁっ」
「嘘はダメだ、桐弥」
「う、うそ……な、んか……では……」
「もう一回だけ訊くぞ。桐弥は、縛られて感じるんだろ。正直に言えば、イカせてやる」
恵治は右手にも力を入れて、耳元で優しく囁いた。
「うっ、はぁっ。うっうん……は、は……い……」
もう、何も考えられなくなっているであろう桐弥の返事に、恵治は満足を覚えた。
恵治が、桐弥の身体を俯せにして、背後から腰を抱き寄せる。
「桐弥、入れるぞ。力を抜けよ」
「うぅ、ああっ」
桐弥の中は、狭くてあたたかった。恵治が桐弥のものを掴む度、中が収縮して自身を締め付ける。恵治は思わず、性急な抽送を繰り返した。
「ああ、と、う、や、桐弥、桐弥」
「け、け……い、じっ」
互いに、声にならない声で、互いの名を呼ぶ。
「と、桐弥……い……一緒、に……」
自身の限界を感じた恵治が、桐弥の根元を探り、紐の結び目に手を掛ける。
「ああっ、はあ、ああっ」
「ふぁ、ああん、あっ」
恵治が桐弥の中に精を放つと同時に、戒めを解かれた桐弥の先端から、白濁した液体が勢いよく飛び散った。
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