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平和な日常
2020年6月初旬。
就職一年目の栄奈実は、忙しく充実した日々を送っていた。
貿易会社の事務職に就いた奈実は、毎日夜遅くまで残業し、土日は友達との約束や彼氏とのデートに明け暮れた。仕事は2ヶ月たってだいぶ慣れ、入社当初の上司からの叱責は収まりつつある。
奈実は両親の期待に応えるため、高校時代は受験勉強を必死で頑張ってきた。結果的に有名私立大学に合格し、過酷な就活戦線を乗り越え、大企業の内定を勝ち取って今に至る。
これまでの努力が報われた。仕事は時々辛くても楽しいし、やりがいもある。友達は沢山いるし家族も応援してくれ、何より彼氏は優しくてイケメン。人生で今が一番幸せ!
そういえば今月の下旬に、高校の同窓会が開催される予定だ。約4年3ヵ月ぶりに、顔を合わせることになる。全然連絡を取っていなかったが、みんな元気だろうか?きっとみんな、それなりにいいところで働いているんだろうな。久しぶりに旧友に会えるのも楽しみ!
だが、奈実は気付きもしなかった。
このすぐ後、"幸せの絶頂"の彼女を、"絶望のどん底"に突き落とす事態が発生しようとは……。
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