1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
"この日"にあなたを選んだ理由
6月14日、23時。
今日は奈実の23歳の誕生日。
日曜日で、1日彼氏と濃厚な時間を楽しみ、誕生祝いにプレゼントも貰って大満足だ。
奈実は、大学入学時に田舎から上京して以来、ずっと一人暮らし。明日から一週間が始まるので、今日はもう酒も呑んだし、寝よう。
「あー、悠斗くんとのデート楽しかった!貰ったネックレス大切にしなきゃ。ふぁぁ、ねむ…ん?」
部屋の明かりを消そうとした奈実は、背後に何か気配を感じた。振り向いても誰もいない。だがいやに奇妙だ。
「…何?気のせいかな…?」
疲れてるんだと自分に言い聞かせ、前を向き直すと後ろで囁くような声がした。
「奈実。久しぶりね」
「誰!?」
声に驚きもう一度後ろを向くと、なんと女の幽霊が立っていた。
「あなたは…もしかして、夏月…!?」
変わり果てた姿だったが、奈実にはその顔にはっきりと覚えがあった。
塩谷夏月。
高校1年生の時のクラスメート。
ただ彼女は、入学後わりとすぐに転校してしまったはず。確か、6月頃だったような…。
いやそれより、なぜ彼女がこんな姿で自分の部屋に?
奈実には理解不能だった。
「夏月、どうしたの?怖いよ…。嫌がらせ?なんであたしの家知ってるの…?」
すると夏月は、不敵な笑みを浮かべてこう言った。
「奈実、驚かせてしまったわね。ごめんなさい。でもあなたは今日、私に償うべきなのよ。命をもってね…(笑)」
夏月の幽霊は、ビクビクと怯える奈実の顔にピタッと張り付くほど近づいてきた。
「つ、償うってどういうことよ…?」
奈実の目からは恐怖のあまり、涙が零れた。
「フフフ、忘れたのかしら?あなたが私に"したこと"…。いいわ、教えてあげる。あなた7年前の2013年、高校1年生の頃、私と同級生だったの覚えてるわよね?」
「ええ、もちろん」
最初のコメントを投稿しよう!