スーパークマクマは世界を救う。

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 スーパーヒーローと言えばムキムキマッチョ。ずっとそう思ってた。でも今の世の中、先入観だけで見るのは間違いだ。 どんな存在だってヒーローになれる。理由は簡単。世界を救いさえすれば良いのだからーー。 ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘  大阪随一の百貨店。改装してからますます活気が出たこの場所は、4年前主人の転勤で大阪に来てから私のお気に入りの場所だ。 中でもデパ地下はパラダイス。2歳になる息子とよく美味しそうなスイーツやお弁当などをウィンドーショッピングしてしまうほどである。  この近くに会社がある主人と、今日はここのレストランでランチをすることになっていた。時計を見ると待ち合わせまでまだ時間がある。ぐずり出した息子を抱いて私は下の階に降りた。 ぐるっとまわっていたその時、ふとコスメの店舗に目を留めた。 「はぁ。綺麗な人がたくさん...。」  ついそんなことを呟いてしまう私には悩みがあった。ここに越して来てから妊娠出産子育てと忙しい日々を過ごしてきた。これでも一応服装などは気を遣ってはいたが、自分のメンテナンスにさく時間があまりなかったせいかここ最近肌荒れがひどくなっていたのだ。 世の中のキラキラと輝く女性たちを見るたびに、私は劣等感に苛まれた。もう自分に手をかけても無駄だとどこか開き直っている。  時間になり待ち合わせ場所で待っていると、スーツ姿の主人が手を振りながら歩いて来た。 「紗絵お待たせ!こうき遅れてごめんな。さぁご飯食べ行こう!」 「パパー!ごはんー!」 「お疲れ様。じゃあそこ入ろうか。」  2つ下の主人は相変わらず若々しく爽やかな男だ。ピシッとスーツも決まっていて世間一般的にもかっこいい分類だろう。周りの女性が振り向いているところを見ると、きっと会社でもモテていそうだ。バレンタインには毎年いくつもチョコを貰ってくる。 主人もどちらかというとキラキラな世界の住人。やっぱり私は深い溝があるような、そんな気持ちになってしまう。  世の中の人達は、パートナーに対してそんな風に思ったことはないのだろうか。じゃなくても、自分のことをみんな好きなのだろうか。 その前向きさを、輝かせる瞳を、私はどこで落としてきたのだろう...。  時々この世界で自分だけが取り残されているのではないかと思うことがある。 いつから私はこんなにも自分に自信がなくなってしまったのだろうかーー。
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