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さてと、私が飼うに相応しい可愛い猫ちゃんはいるかしら?
「譲渡会は初めてなんですけど、なにか必要な手続きはありますか?」
「里親希望ですか? ありがとうございます。 一応こちらにご住所、電話番号とお名前を記入いただきまして、譲渡希望にチェックを入れていただけますか?」
「これでいいですか?」
「はい、では気になる子がいましたら係りにお申し付けください。あちらでは、直接触れられるようになってますよ。」
とりあえずは全体を見て廻ろう。 慌てることはない。
「あ、この子ミックスかな?可愛い。 チェックしとこ。」
「この子もいいな。 ハチワレ好きだし。」
「アメショーもいいし、茶虎も可愛いし、、」
そんな中で一際目立つ場所にケージが置いてあったので、きっと目玉の可愛い子だろうと思い覗き込んだら
「わぁ、なに。ブサイクな子。睨みつけてるし。こんな子貰い手いるのかな? 絶対さっきのハチワレの方がいいよね。」
そうこうしてた時、場内放送で
「これより、譲渡説明会をいたしたいと思います。希望の方は受付までお集まりください。」
そこでは、さっきまでとはうって変わって厳しい話がされた。
まずは猫との相性。 飼育環境は大丈夫なのか? 責任持って最後まで飼えるか。
途中放棄した場合この子たちに待っている運命。 何かあれば医者に連れて行ってくれ。
たしかに、その通りだ。すこし浮かれていたかもしれない。そして、先程記入した書類が手渡された。
「厳しい事も申し上げましたが、とても大事な事なので、大丈夫だという方だけ一番下のところに署名の上、希望の子を申し出てください。
でも、無理だという方も、引き取ってやろうと考えて来ていただいたことに感謝いたしております。それほど、切実なのです。」
少し、気持ちが引き締まった。 引き取り手のない子はどうなるんだろ。 ま、こんな人たちが殺処分にすることはないだろうけど、引き取れるのも限りがあるだろう。
私はあるケージの前に立っていた。
「ほんとにあなたはブサイクね。そんなに、じっと見ないでよ。あなたなんて引き取り手ないわよ。」
だから、目立つとこに置いてあるのか、、、
「残念だけど、可愛い子がいいの! そんなに見つめてもダメだからね。 可愛い子が、、いいんだから、、」
私はその日一匹の猫を引き取ることにした。
引き渡しは数日後で、会の人が連れてきてくれることになっている。
「楽しみだな。毎日モフモフしてやるんだ。」
そして次の土曜日。 ピンポーン!
「はーい。」
「平川さんのお宅ですね?」
「はい。 猫の譲渡会の?」
「そうです。 一応環境チェックした上での引き渡しとなりますので、直接うかがいました。戸建てですが、持ち家ですか?」
「はい、そうです。」
「なら、問題はなさそうですね。 では、末長くお願いします。」
「はい、最後まで面倒みます。」
我が家に家族が増えた。 今旅行に行ってる父と母は何て言うだろう。 きっと、、、、
「あんたに似たブサイクな子もらってきたのね。」
ほっとけ!
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