プールサイドで目を閉じて

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プールサイドで目を閉じて

初めて3人が練習するプールへ招待された。水がキラキラ光って、まるで別世界の風景だった。水しぶきをあげて、暁斗がバタフライの練習をしていた。フォームがきれいで、水からあがる姿がカッコよかったので、周りにいるギャラリーの女の子達も、黄色い声援を送っていた。 そして、リズムよく水面を泳いでいたのは、斗真。クロールの流れるような指先にも、男らしさと、包み込んでくれそうな、眼差しが見えていた。暁斗には負けない黄色い声援が飛び交っていた。 涼は、背泳ぎ。長い腕からは、力強く水をかいていた。シックスパックも、きれいに見えていて、ちょっと、エロさを感じていた。あんなオタクなのに、こちらも2人には負けない黄色い声援があった。 綾は、目を閉じて、3人との出会いを思い出していた。あの満員電車に乗っていなければ、出会うことも、お付き合いすることもなかった。1人でニヤニヤと笑みがこぼれてしまったので、周りに気づかれないように、真剣な表情で、プールを眺めていた。 水泳部の練習が終わり、ギャラリーも帰って、静まりかえったプールサイドに綾の姿があった。3人の練習を初めて見て、とても興奮したと伝えた。そして、あるお願いをした。 毎年恒例行事で、皇居の勤労奉仕をすることだった。綾は、陰陽師の家系に生まれ、年に一度、皇居に結界を張るため、勤労奉仕活動をしていたのだ。しかし、今回は、1人で行くことが出来ないので、3人にお願いしたのだ。4日間連続で、朝から夕方まで、お掃除するのだが、綾は、結界を張るため1日多く行くことになるのだ。 急だが、1週間後に皇居前で集まることになった。 元々、陰陽師は、城の近くに住まいを持ち、常に城の周りを結界で守る仕事だったのだ。 しかし、現代では、皇居周辺には、住むことが出来ず、結界を張るための神社が周りを固めているが、その中にも陰陽師は、住む場所がなかった。そのため、こうやって、年に一度、来ていたのだ。 イケメン3人が皇居前に着くと、周りに居たおばさま達から、熱い視線を浴びることになった。「私とお茶でも行きましょうよ。」「なんでも好きなものプレゼントしちゃう」「私とデートして!」などなど…女子大生と変わらない黄色い声援だった。まぁ、ここでも、綾が登場すると「何あのブス!デブなのに、なんであの人達と仲良くしてるの?」陰口がチラホラ聞こえてくるのだ。まぁ、綾は気にしてないけど…
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