幽体離脱の先に…

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幽体離脱の先に…

暁斗と綾は、満員電車に乗って、郊外の住宅地へ向かっていた。満員電車では、何故か暁斗と綾が抱きついて立っているのが、見えた。しかも、電車の天井から… 「私は、暁斗と一緒にいるんだよね?でも、ここで見ている私は、誰?」 今、天井から見下ろしてるので、その周りを確認したけど…私しかいないし、見ていることも、夢なのかな?なんて思った瞬間、綾の身体が風に乗って、郊外の住宅地へスーっと、引き込まれていった。 高級住宅街なのか、大きな家が立ち並んでいた。その一件に、目的の女性が住む家があった。庭の手入れをしている女性は、見たところ35歳くらいに見えた。目鼻立ちがくっきりしていて、和風美人と言ってもいいくらい綺麗だった。綾と比べたら、誰しもがこの和風美人に惹かれると思っていた。 子供の頃にも一度、幽体離脱して、行ったことのない場所に飛んで行ったことがあったが、今回も夢の中で、暁斗と女性の生き霊を供養するために、綾が見ているのだ。 「やっぱり、これは夢だ!」と叫んだ時、綾は、夢から覚めてしまった。でも、目を開けて、何かの気配を感じた。時間は、真夜中の3時。ちょっと怖いけど…周りを確認すると、綾の枕元に着物を着た、5歳くらいの男の子が立っていた。ケタケタと笑っている。が、不気味な雰囲気だった。 「あの女の人のところへは、行かない方がいいよ。お姉ちゃん、殺されちゃうよ。だって、女の人…1人じゃなくて、怖い人がたくさんいるんだもん。お姉ちゃん達が来るのを、待ってるよ。」座敷わらしが、いくつか教えてくれた。 1. 強い悪霊なので、以前あったような歴代の陰陽師に手伝ってもらうこと。 2. 祓うための用意は、通常より多く。 3. 一緒に行く人と離れないように、赤い糸で、お互い小指を結びつけること。 4. 必ず戻ってくると、自分の居場所を意図すること。 5. このことは、他言無用で日々を過ごすこと。 そう教えてすぐに、座敷わらしは、消えた。
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