目玉焼きに何かける?

1/1
前へ
/48ページ
次へ

目玉焼きに何かける?

その日は、斗真がデートに誘ってくれた。とりあえず、斗真の家に集合ってことで… 朝ごはんを食べていなかった2人は、何か作ることにした。とりあえず今、食べれるものを。メニューは、トースターとサラダとヨーグルトと卵料理。ただ、卵料理も何が良いかとお互い考えた末に、目玉焼きを作ることにした。卵2個で…2人とも、美味しそうな目玉焼きが出来て、食卓で食べようとした時、綾は、目玉焼きに醤油をかけた。「ん?醤油なんだ?俺は、ソースだなぁ。こっちも美味しいから、食ってみろよ!」と綾の口元に斗真が持っていった。 「斗真の箸で食べるなんて、嬉しいし、美味しかった。でも、間接キスみたいで少し恥ずかしい」と、呟いた。ソースの味も美味しいと、初めて知ったので、今度、家でもやってみようと思った。 2人の朝ごはんが食べ終えて、デートに出かける頃には、もう11時近くになっていた。 今日は、これから斗真が出演するライブハウスへ行くのだった。横浜までドライブ。 久しぶりのライブ出演で、女性ファンがたくさん来ていると、連絡が入っていた。演奏時間まで、6時間はあるというのに、凄い人気なんだと、綾は、思った。 「デートも、斗真の演奏も見たいけど…私なんかが一緒じゃ、また女の子に陰口言われる。」そう思った時、綾の涙が一筋頬に流れた。斗真は、綾を抱きしめ、「俺の大事な綾を守ることが出来なかったら、彼氏として失格だよ。俺は、綾が好きなんだ!だから、どこに行っても、俺の彼女だ!俺の女だから、誰にも渡さないって言ってやる!」斗真の言葉に、綾は嬉しくなり、斗真をきつく抱きしめた。 横浜までのドライブは、とっても気持ちが良かった。心地よい風が、綾の髪をなびかせて、潮の香りと、綾のシャンプーの匂いで、斗真も嬉しくなった。ライブハウスでは、リハが始まって、初めて聞く斗真の歌声に、「天使の歌声だよ。」と、綾は思った。 斗真も、綾だけに届くように歌い続けた。 開演時間になり、満員の観客。1ドリンクが付いているので、アルコール片手に聞いている人もいる。前の方は、女性客ばかりだった。綾は、後方のテーブル席に座って見ていた。いつもと違う斗真の声と、優しい表情を見せて、甘く囁くように歌うバラード。誰でも、好きになってしまうような、雰囲気を出していた。アンコール曲も終わった後、バンドメンバーには、綾のことを紹介した。 でも、メンバーは、歴代彼女と正反対の綾を見て、びっくりしていた。今までのモデルのような彼女から、ぽっちゃりの綾は、斗真と不釣り合いだと感じてしまった。でも、斗真の気持ちは、伝わってきたので、何も言えなかった。ライブハウスの控え室に、忘れものをしたと、斗真が向かった。戻ってきた斗真は、様子が違っていた。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加